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恐怖に怯えた3日間を過ごして気づいたこと
…38度9分。
体温計に映し出された数字を見た瞬間、わたしは、ムンクの「叫び」のような姿になった。
新年2日目の夜だった。
小さい頃からよく決まりごとのように、「お正月インフルエンザ」をこじらすことがある。
あ、またインフルエンザになっちゃったか、と思いたかった。
思いたかったが、今回は状況が違う。
2021年はじまってまだ2日。
これは、どっちだ。一か八か。丁か半か。
インフルエンザか。
それとも今流行っているCORONAか。
先に結果を言ってしまえば、PCR検査を受けた結果「陰性」。
ただのインフルエンザだった。
「ただの」と言っているが、インフルエンザも十分怖いし、黄泉の国を彷徨っているかのように辛い。
ただ、今年のインフルエンザの立場は、明らかにいつもと違っていた。
裏に、実はとんでもない黒幕がいたときに存在感が薄くなる悪役のごとく。
それが今年のインフルエンザ。
心配してくれていた家族や友人は、みんな口をそろえて「よかったー!」「インフルエンザでほっとした」と言った。
その言葉を聞いたのは、わたしが発熱して3日後のこと。
そう。陰性結果が出るまでの3日間、わたしはコロナの恐怖に怯え、隔離生活を送っていた。
少し体調がよくなってきた3日目。
ネットでたまたま見つけた記事を読んでいた。
コロナに感染したサッカー選手の症状とコメントを紹介しているページだった。
そこで一人の日本人サッカー選手のコメントが目に留まる。
できる限りの予防、対策をしてきました。しかし、今回このようなことになり、周りにどれだけの迷惑がかかるのか計り知れず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
違和感があった。
今までもテレビなどで謝罪している有名人を見て、違和感を感じていた。
もし、この選手がマスクもせず、手も洗わず、人が食べている肉まんを横からひとくち、そして違う人のピザまんも横からひとくちしていたなら、「今すぐ土下座してあやまらんかい」となるのだが。
できる限りの予防、対策をしてそれでコロナになってしまったなら、本人が1番辛いのではないか…。
そして他の選手たちのコメントを見て思ったこと。それは、自分が感染してしまい申し訳ないとコメントしているのが日本人選手しかいなかった。
なぜ誤るんだろう。
日本の謝罪文化がそうさせてしまうのか。
誤りたくて誤るぶんにはいいが、誤らなければならない社会があって謝罪しているんだったら、なんだか悲しいなと思う。
黒幕は感染した人ではなくて、コロナなんだけどな。
わたしがはじめて出産したとき、母は日本からわざわざお世話しにスペインにきてくれた。
突然どうした、だが。ちょ、ちょっと聞いてもらいたい。
そのとき、初の出産ということもあって情緒不安定で子供のことで頭がいっぱいだった。
そんなときに、母がまあまあ大事にしていたわたしのコップを割った。
わたしはとっさに「ああーーー!」とコップにかけよった。
母の手が切れていないか、母がケガしていないかなど1ミリも考えずに。
そう。こんな奴にはなるべからず、とわたしは言いたい。
ケガしてる人や病気の人には、まず「体どう?大丈夫?」と声をかけられる人。
そんな人間にわたしはなりたい。
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