ブラックミラー 【サン・ジュ二ペロ】がとても美しい作品だった。
〈大好きな楽園で、また、あなたに会いたい。〉
「脱出する」という行為がここでいうサンジュニペロで楽しむ時間。現実を生きてきたものと20年弱しか現実を生きれなかった人間同士の描写。
体が死んでしまってコミュニケーションが取れない現実か。
若い頃の容姿で感じ、心躍らせ、その瞬間を楽しめる脱出の世界か。
「現実」「幻想」の境界線は何か、身体と精神とは一体何か。
「雲(クラウド)の上に昇る(アップロード)なんて天国みたい」
「確かに」
本物みたい、まるで現実ね
本物の時間を味わうことのなかったヨーキー。
一方で人生は一瞬の快楽だけではないことを知っているケリー。
49年間夫婦生活の中に想像もつかない、分かるはずがない月日があった。
全てを捧げて生きるという経験は現実を生きる者しか感じられなくて、寂しいだとか嬉しいとか苦しい、悲しくなるみたいなことが今生きている私たちにしか、そして私にしか・貴方にしかわからない時間。
「人生を過ごす」とは「苦しい時期を乗り越える」ことだということ。
場面で垣間見える心情の虚いを描写した演出がとても印象的。
まるであの天国にゆっくり向かうようなチューブの液体
初めて昼の心地よい風を感じるような表情
そしてなんといっても息を飲むほど美しい景色に心から癒される。
景色の綺麗な映画は好き高原の中にポツンとある施設、海、
最後にヨーキーを追いかけるみたいな、波になってチューブを通る安楽死への薬。
最後の3分で仕組みがわかる
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