【タロットとカード殺人事件】
作品については、冒頭で亡霊から助言をもらうことで全体のストーリーはわかるし特に難しい構成ではない。
ただ個人の見解だが、ウディアレンは表面的なストーリーの下に小細工を散りばめて、時にキラッと光る人生の教訓的なメッセージをくれる。それはまるで宝探しみたいで本当に好きな監督。
〝世の中はウソだらけ 真実は何処に〟
ウソも真実も表裏一体で、まるでオセロのように次の一手でどうにでもなる。
殺人事件を解明するはずが滑稽なまでに恋の盲目となったサンドラ。定番スカーレットヨハンソンがまた可愛くてこの時点で最高。
なにより、一度もキャラクターがブレない頑固で皮肉者な手品師シドニー。演者として作品のキーパーソンでいるこなとがまたウディアレンの凄いところで、結局左車線に慣れずに…としっかりオチて自虐も忘れず入れてくる。
ピーターは悪い人ではない。
しかし〈リスクを追う時は詰めが甘いと痛い目にあうものだ〉とこれも教訓として胸に残しておきたい。
高校生の頃はウディアレンの映像観、思想、音楽にのめり込んで一通り見たけど、また違ったものが見えてくる。彼のコアファンがいる理由がまた一つわかった気がした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?