さみしさの詩


 きみが詩を書くためのメタファーとして
 きみにつくられたかったが
 ぼくは乳化した欲望のオブジェで
 ぼく自身のからだのなかでしか死ねないんです……

 丸めたティッシュが無数に散らばる、からっぽの駅 プラスチックの白のつめたさは、階段の裏側のようだね あかちゃんが、うまれるばしょみたいだね 半分だけあおいかげで満たされている 鍵盤の全身挫滅の音はまるでうちゅうの骨だね(夕暮れだと何度もいおうとして、舌がもつれて幽霊と何度もいいまちがえ、その頃からぼくは母の閃輝暗点を頻繁におもいだすようになる 罪という文字が窓枠とカーテンをかたどっているとしたら?(分裂していくもの/吸収していくもの)(乾いていく手のひらの、乾きそこねた糊のようなかなしげなひかりの))

 風が吹いているのではなく、みずからが飛び交っていたのだ はずれた電源コードのように?

 眠りながら祈り、
 祈りながら捩れ、
 捩れながら悼む、
 悼みながら願い、
 願いながら嘶く、

 ガーゼのような
 影を
 首筋に
 かぶせるように

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