見出し画像

1歳の子どもでも花粉症になる?

スギ花粉症のお子さんも多くなってきました。スギ花粉症の発症の時期も徐々に年齢が下がってきて、3-4歳のスギ花粉症のお子さんは珍しくもありません。時々聞かれる質問ですが、それでは「1歳の子どもでもスギ花粉症になるのか?」について書いてみます。

結論から言いますと、「1歳でスギ花粉症になるお子さんは居ます」。もちろん1歳でスギ花粉症のお子さんは多くはありませんが、僕自身も時に診ますし、アレルギー専門医の先生なら少なからず経験されていると思います。

なぜ小さいお子さんには少なくて、大人には多いのか、ということから書いてみると、スギ花粉症になってしまうには、まず「スギ花粉への感作」(スギ花粉と接触してスギ花粉に対する抗体を作りアレルギー準備状態となる)が起こり、その後、「スギ花粉と接触」することで花粉症の症状が出ます。つまり、感作するまでの期間や感作から発症までの期間がありますので、一般的にはスギの時期を2シーズン以上は経過して発症することが多いです(アレルギーの素質が非常に強い赤ちゃんでスギ花粉シーズンの初期で感作しそのシーズンの後半でスギ花粉症を発症するということはあり得ますが非常に稀です)。 特に近年ではスギ花粉症の低年齢化が進んでおり、1歳代のお子さんでもスギ花粉の多い地域では、スギの時期を2シーズン経過しているような1歳代後半のお子さんであれば、既にスギ花粉症を発症していることもあります。そのようなデータとしては、かなり古い「2008年のデータ)で既に、0歳、1歳のスギ花粉症のお子さんが確認されており(「乳幼児のスギ花粉症の現状と治療の展望)(日本小児アレルギー学会 2008年第22巻2号の解説https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci/22/2/22_2_217/_pdf/-char/ja)、そのデータの頃よりさらにスギ花粉症の低年齢化は進んでおりますので(参考:「アレルギー性鼻炎ガイド」内の「年齢による差」の表 http://www.jiaio.umin.jp/common/pdf/guide_allergy2021.pdf)、近年では1歳のスギ花粉症のお子さんはさらに多くなっている可能性が高いです。

小さいお子さんのスギ花粉症の診断としては、まずは、「鼻水や鼻づまりがスギ飛散の時期に多い」「遷延するか」どうかが重要で、さらに「目のかゆみ」があると可能性が高くなります。風邪であれば1-2週間程度で改善しますし、目のかゆみはありません。確かに血液検査も多少は参考にはなりますが、1歳のお子さんのスギ花粉症を早々に診断しないといけない訳ではありませんのでまずは、スギ花粉症も視野に入れて鼻水の治療はしてもらいつつ、今後「鼻水が遷延する」「目のかゆみが悪化する」ようであれば、再度受診して相談すると良いかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?