忘れ物した帰り道
夕方、本屋さんに入った。
それほど広くない店内を30分くらいぶらぶらして。
結局そこでは1冊も買わずに、スーパーへ向かった。
スーパーをぐるっと一周。
厳選した食材の入ったカゴをぶら下げて、「さあ、お会計だ」という時にカバンをみたら、財布がない。
しまった。
家に置いてきたんだ。
こんなことは初めてだった。
店員さんに商品の取り置きをお願いして、家に帰った。
今度はちゃんと財布を持って、無事に買い物を終え、本日二度目の帰り道。
突然、大学生か、もうちょっと大人か、それくらいの女の子が私にスマホの目を向けた。
心の中では一瞬ひるんだが、顔とか体勢には表れていなかったはず。
すぐに女の子は別の方向にスマホを向けたので、ほっとした。
どうやら彼女はビデオ通話の機能を使って、外の景色を写し、電話の向こうにいる人に道案内をしてもらっている様子だった。
頭の端っこでちらっと、「地図みればええやん」と思ったが、
そんなビデオ通話の使い方があるのか、と素直に感心することにした。
テレビ電話に向かって「え~?どこ~?」と甘えるような声の感じと、カジュアルな服装とで、飲み会の待ち合わせかなんかかな、と勝手に思った。
結局、彼女の行き先は宅急便のお店だった。
ちょっと大きめの声で「すみませーん」と宅急便のお兄さんを呼んでいる。
そこまで。
ちなみにひとこと言っておくが、彼女が私の前を歩いているものだから、視界に入ってしまっただけである。彼女のプライバシーを知ろうという気はさらさらない。
とにかく、私の想像と、今見えている現実にものすごいギャップがあった。
勝手にひとりで驚いてた。
ひとりでノリツッコミしてるようなもんなので、けっこうおもしろかった。
でも今は、自分で作り出したギャップに驚いてどうすんねん、とつっこみたい気分だ。
忘れ物したあとの帰り道は、いつも以上に落ち着いて物事をみている気がしていたけれど、こうして振り返ったら、なんだか、よりアホウになっていた気がしました。
やっぱり忘れ物はしたくありません。
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