透析のバイト
求人情報を見ていると、血液透析のアルバイトを見かけた人もいるだろう。
『お得という話も聞くけど、どうなんだろうか』
そんな疑問を抱く人も少なくないだろう。
透析を専門とする医師が勤務するのは、変哲のない外勤に過ぎないので、
あくまで透析を専門としない医師
もしくは透析領域で駆け出しの医師を対象にした記事である。
透析バイトが募集される背景
『どの透析施設にも、
常勤の透析を専門とする医師がいて
透析患者を管理している』
と信じている患者さん、医療関係者も多いだろう。
それは間違いである。
透析施設(病院およびクリニック)の数は年々増えている。その施設を充足するほどは、透析を専門とする医師は充足していないのが現状である。
常勤がいない施設では、常勤が見つかるまでの間、定期非常勤を募集することになるわけだ。 毎週月曜、火曜、水曜などで募集がかかる。
常勤がいても研究日や土曜日の休みに定期非常勤の募集がかかることもある。
また常勤がいる病院であっても、一人体制での有給取得や、学会などで不足が出る場合、スポットで透析を見る医師に募集がかかることがある。
緊急の募集は、定期非常勤もしくは常勤医師の急病での欠勤が理由だ。コロナやインフルエンザなど、感染性疾患で診断名が明白なものは出勤がしづらいし、コロナ禍を経て、熱があったら休むという認識は一般的になった。
2018年ごろまでは『38度くらいなら解熱剤飲めば勤務できるでしょ』というのが医療業界の・・・医者たちの中の常識だった。
まさに医者の不養生。トンデモ業界である。
透析の勤務
勤務先によってかなり幅がある。
病院とクリニックの違いから述べていこう。
病院
最大の特徴は当然だが、入院患者がいる。
外来患者より具合が悪いし、シャントのトラブルも起きやすい。
不慣れな医師に病院の透析バイトはお勧めしにくい。
院内にシャントトラブルを対応してくれる医師がいるなら、問題にならない。
逆に透析のカテーテルを入れる自信がないなら、やめておいた方が無難だ。(バスキャス、ヘモキャス、ヘモカテなど様々な呼び方をされる)
カテーテルを入れるのが初回でない患者さんも多く、
左の腕頭静脈狭窄や、右内頸静脈血栓などを合併している症例も少なくない。
『CVくらいいけるっしょ(中心静脈カテーテル挿入)』
と甘く見えていると痛い目を見る。
右内頸静脈留置のカテーテル感染&左内頸静脈逆流(左)でやむなし足に留置した症例がある。
逆流に気づかず、左内頸静脈を穿刺してもカテーテルは入らないだろうし、
左腕頭静脈を損傷したら、死亡もあり得る。
十分ご注意いただきたい。
ここまで読んでいただいた読者にお礼として、あまり知られていない情報を教えよう。
たまに、鎖骨下に透析カテーテルを入れている先生を見かけるだろう。
実は鎖骨下静脈に透析用のカテーテルを入れるのは避けるようにガイドラインに記載されている。
ご注意されたし。
万一、病院でシャントトラブルが対応できないと、ほかの病院に緊急で転送するしかない。とんでもなく大がかりなことになるし、気まずい思いをするのは、勤務した先生自身だろう。
クリニック
バイトの本命ともいえるクリニック。
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