【雑記】年齢の価値が下がっていること

似たようなことを考えていたので、この小嶌さんの雑記をとても興味深く読んだ。ここで彼女は、年齢はもはや上下関係を意味しないと感じておられ、それは現代の情報入手容易性から来ているのだろうと考察しておられる。

私も年齢の価値が下がっていることを感じていた。それは若い時からで、その時私は成り上がる方であって、その背景など考えてもみなかった。最近になって、それは世の中の変化の速さから来ているのであろうな、と思いあたった。

昔は人の一生に比べて世の中の進歩はゆっくりだった。若い時に一定の技術を習得し、その技術で一生を生きることができる。学校というシステムがまさにこの構造を反映している。日々の仕事の中で歳と共にその技術はより洗練されてゆく。年長者は自分の未来であって、常に先生だった。終身雇用で人材を囲い込み、価値の近似値として年功序列制のシステムを採る合理性がそこにあった。

ところがだ、昨今は世の中の進みがとても速い。速いだけでなく非連続的な変化が頻繁に起こる。大学で最新の理論を身につけた新入社員が、ベテラン社員には手の届かないような方法で物事を解決する。国際的な感覚を身につけた若者が、日本ドメスティックどころか社内ドメスティックな感覚のオジサンを追い抜いてゆく。日々の仕事の中で差分的に経験を蓄積するだけでは、こういう非連続的な変化にはついて行けない。ここに終身雇用制も年功序列制も、かつて持っていた合理性を失う。

そう言ったことをつらつらと。

しかし、とすると組織の中で年長のものの価値ってなんだろう。結論めいた考えを持っているわけではないのだけれど、能力のある尊敬すべき人たちを思い浮かべることはできる。形は多様だけれど、どの人も、ああ、若者では敵わんな、と思わせる。だから、ちゃんとある、経験の積み重ねの必要なクオリティが。単に歳の積み重ねに自動的についてきていた価値が低下しただけ。

それと、価値が誰かにとっての価値である必要はないだろう。物事の中に美しさを見出し、おもしろさを見出すには、相応の知識と経験の積み重ねが必要だ。それは自分自身を豊かにしてくれる。

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