岡島悦子さん『40歳が社長になる日』

未来をつくる人をつくる、岡島悦子さんの『40歳が社長になる日』を拝読。

本書は、前作以上に、人材開発の最前線で活躍されている岡島さんだから書けたものだと思われました。

2025年、日本の大企業にも40歳の社長が多く誕生するようになるという、非常にキャッチーな指摘から、本書は始まります。

その理由として、2025年に40歳になる世代は、デジタル・ネイティブ世代で、コンピュータ、スマートフォン、EV、ドローン、ブロックチェーンに違和感がなく取り入れることができ、こうしたテクノロジーを自社の事業開発にどれだけ活かせるが、企業の稼ぐ力をで左右することを挙げています。

また、企業のイノベーションのためには、顧客インサイトをいかに捉えるかが重要であり、しかも、それはスティーブジョブズのような一人の天才がするのでなく、集団天才型のチームで顧客共創をすることが極めて重要のこと。また、このチームの形成において、離れた領域の人たちが集結し、その知識や経験が集積することで、結果として1+1=3になるような環境を作っておくことが重要とのこと。

この例として、カルビーが出てきますが、カルビーでは5時間ごとに社員の席を変えるフリーアドレス制を用いて、部長と新入社員のようなものはもちろんのこと、課の垣根を超えた人材の交流を図っているようです。

この他にも、ダイバーシティが福利厚生の施策ではなく、成長戦略になるようにするために必要なことだったり、健康寿命の伸びから働ける年齢が伸びることは当然予期されるので、長時間労働から長期間労働へ、働き方がシフトすると指摘されています。

他にもまだありますが、大枠では以上となり、具体例や岡島さんお手製の図などがたくさんあって、読みやすくなっているものの、内容はとても濃いので、ゆっくり噛みしめるように読みました。

また、あと2か月で30歳になる私としては、他人事ではなく、自分事として、読むことができました。

2025年、40歳になる世代だけでなく、それよりも上の世代の方の協力や、理解があって、世界と戦える大企業が成立するので、そうした方にも手に取ってほしい本です。

今一度記憶を定着させるために、岡島さんの前作のことも少し、

前作の『抜擢される人の人脈力: 早回しで成長する人のセオリー』が、自分にとって、本当に読んでよかったと思える本だったので、現在ルーマニアの大学院にいる身であるものの、電子書籍で予約して、すぐに読んでしまった。

当時つけていた読書記録を久しぶりに読み返したところ、前作については、下記の点がよかったようである。

人脈スパイラルモデルという方法を用いて、戦略的に自分の人脈を形成していくこと。

特に、人脈形成をする上で、自分だけでなく、周りの人に自分をうまく紹介してもらえるようなタグ(例:英語×会計×プログラミング)を考えておくと効果的。

この指摘は、当時、大学を卒業して働き始めたばかりの私にとって、自分のキャリア形成を考えていく上で、とても助かった。

また当時の思い出の一つに、Twiter上で、岡島さんから返信をもらったことがある。

当時は、TwitterなどのSNSを使っている人が多くなかったこともあり、SNS上で本が今ほど話題になっていなかったと記憶しているのだが、私が深夜に読み終えて、感想をTweetしたところ、すぐに返事をいただけた。

返事をすぐにいただけたことにはもちろん驚いたが、私は発売されてから何年か経過してから、その本を読んでいたので、常に自分のことを気にされているのだなと感心してしまった。

最後に、この本の中で紹介されているタグということについて考えてみると、今の自分は、会計業界での経験×英語×MBA×ルーマニアということになると思う。

さらに、10月からポーランドに1学期だけ交換留学することも合わせると、ルーマニアやポーランドといった括りよりも、より広範に東ヨーロッパについて、語れるようになれるかもしれない。いや、そうなるべきなのだろう。

前作は本で読んで、今回は電子書籍で読んだ。否が応でも時代の変遷を感じられるようになってきている。

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