見出し画像

プロ野球 オープン戦の思い出③

2011年シーズン、横浜ベイスターズにトレードとなり新たな気持ちでキャンプを迎えていた。

2月の春季キャンプは嘉手納(2軍)からスタートし、途中シードバッティングや練習試合で1軍に呼ばれ、ホームランを放つなど少しずつ結果は出ていた。
しかし、1軍の昇格はなしでそのままキャンプは終わった、、、

2軍は3月から教育リーグが始まる(1軍はオープン戦、2軍は教育リーグと名前が違う!)
そして3月末の開幕に向けて順調に調整しているなか、3月11日を迎えた。

3.11

この日も教育リーグ、横須賀で試合が行われた。
試合内容はほとんど覚えていない、、、

試合後にグランドでミーティングを行っていた時

地面から突き上げるものを感じた! と思った瞬間「ドーーーーン!」という音とともに凄まじい勢いで地面が揺れた!

何がどうなっているか分からない状態
そして誰かが「地震だ!」という言葉に、ようやく状況がつかめた
そのくらい一瞬で、そして凄まじい衝撃だったことを覚えている

それから数分経って落ち着いたときに個別練習をやろうとしたときに
「津波がくるぞ!!練習している場合じゃない!!高いところに逃げろ!!」と隣の横須賀基地の方々がグランドに入ってきた

 その時に
東北が大変なことになっている、関東もすごい被害なことを聞き、チーム全員で急いで避難した!

 怖かったという感情よりも
「今、どうなっているの?」ということの方が大きかったと思う

回線がパンクしているのか電話がつながらない、ネットもみれない
ただただ「逃げろ」と言われて高いところに逃げている状態

トレードで横浜に引っ越してしたばかりの家族の安否もわからず不安だった。

どのくらいの時間が経ったか

津波がこないことが分かり球場に戻った
急いで着替え自宅に戻るため車を飛ばした

当時は横浜スタジアムの近くに住んでおり、横須賀からだと車で通常1時間弱といったところ
それが球場を出た瞬間に渋滞!!
(こんなこといつもないのに、、、)

聞けば高速道路が閉鎖になり、一般道に車が集中したことで、16号線はかなりの渋滞でほとんど動けない状況だった。
たまらず、近くのコンビニへ寄ると停電で営業ができておらず何も買えない状態
ガソリンがなく、スタンドによっても「対応できない」とスタッフさん達もテンパっている

16号線の横浜方面は渋滞がひどく、2時間ほど身動きができない状態(1㎝も進まない)が続いた。
すでに夜になっていたと思う。
たまらず横須賀のベイスターズ2軍寮へ引き返した
寮につくと
選手、コーチ、スタッフさんなど、みんな帰れずにロビーで待機していた

みんなテレビから流れてくるニュースを黙ってみていた
自分はここでようやくどういう状況になっているのかを知る

0時を過ぎ、日付が変わっても状況は変わってなかった
誰一人、帰れず
繋がったネットで高速道路、そして渋滞情報を確認しても変わりがなかった
このあたりでようやく携帯電話もつながり家族の安否が確認でき、安心したのを覚えている!

 午前4時ごろ
誰かが「高速道路が保土ヶ谷まで通れるようになってるぞ」と言った
渋滞も少し緩和されている様子
ここぞとばかりに急いで自宅に帰った。

保土ヶ谷まで行ったが、そこからまた横浜方面は凄い渋滞
結局、自宅には午前6時頃についたと思う

自宅についた瞬間、家族が無事だったこと、ようやく帰ってこられたことなど、張り詰めていたものが安心してゆるんだのか倒れるように眠りについた!

驚きの昇格

地震が起きた翌日、練習は休みだった

あまり眠れず、すぐ起きた
そんな時一本の電話が鳴った。マネージャーからだった!

「こんな時になんですが、明日から1軍に行ってください」ということだった!
「えっ!!」いつも嬉しいはずの1軍昇格だが、「このタイミングで呼ばれるの⁉」と複雑な心境だった。

 翌日、1軍昇格で横浜スタジアムへ向かった
しかし、練習がはじまらない!

 何かというと
ニュースで「放射能があり、無理が外出は控えるように」という報道

ロッカールームでニュースを見て、選手達は外で練習することに不安を感じていた!
首脳陣も同じで気持ちであったと思うが、外で練習したい首脳陣と外での練習に不安を感じている選手達で少し意見の違いがあった為、練習がなかなかはじまらない状態だった。

ベイスターズに移籍して、1軍昇格初日は嬉しい気持ちよりは「こんな時に野球をやっていいのか!」という複雑な心境だった。

ほどなくして2軍降格、、、
ベイスターズでの1軍はこの大変な時期だけだった、、、

あれから9年

まだまだ復興が続いているなか、こうして健康に過ごさせて頂いている環境に感謝するとともに、こういったことを風化させない、あの時の記憶がない子供達にもしっかり伝えていきたい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?