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舘ヶ岡磨崖仏と供養碑群

今回ご紹介する福島県須賀川市にある舘ヶ岡磨崖仏と供養碑群は、須賀川市の西部に位置し、舘ヶ岡地区の中心を流れる滑川の南岸、中世に須田氏の居城であった向山丘陵の西崖面にある。

駐車場はないが、付近に通行の邪魔にならない程度の駐車可能なスペースがある。参拝時にはちょうど地元の方が散歩しており、手を合わせている姿が見られた。

舘ヶ岡磨崖仏は高さ2.15mの定印を結ぶ阿弥陀如来坐像で、鎌倉時代後期の作と考えられている。

石質が良いためか保存状態が大変良好で、鎌倉時代の作とは思えないお姿をしている。阿弥陀如来だそうだが、どちらかというと日本より大陸系の仏像のお顔立ちに見えた。

磨崖仏左右の崖面には数基の梵字による磨崖供養碑があるとのことだが、大部分が崩壊しているようで、私が訪れた際は梵字が1基確認できるのみだった。磨崖仏周囲には岩がたくさん転がっており、崩壊した供養碑の一部ではなかったかと想像を掻き立てられる。

舘ヶ岡磨崖仏のもう一つの見どころは、付近にある覆い屋根に囲われた2基の石である。

一つ目の石には、石の上面に大日如来を中心とした梵字曼荼羅と地・水・火・風・空の五大(宇宙の生成要素)を表す梵字を刻んだ五輪塔が線刻されている

その隣には、大日如来の化身である不動明王を表す梵字を胴体とし、その上に不動明王の仏顔を配した線刻像が刻まれている

像容は炎を背負い、弁髪を左肩に垂れ、憤怒の形相をして右手に宝剣、左手に羂索を持っている。

この大仏の所有は大仏山来迎寺という寺院で、はじめは真言宗総本山東寺の末寺であったといい、この大仏は来迎寺の旧寺院跡と伝えられ、大仏の南崖面に天長元年(824)の記念銘があるのは寺院の建立年と考えられているという。

現在舘ヶ岡磨崖仏周辺は一面田んぼで、寺院があったとは到底思えない景色である。秋には一面が黄金色に輝くであろうこの景色を大仏様は見守っておられるように思えた。

【所在地】福島県須賀川市舘ケ岡向山

【駐車場】なし(付近に駐車可能なスペースあり)

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