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サンリオVfes2024 kinu 6th live "まわる、ひらく。"感想文(2/28版)


(2024/4/9 追記) 本記事と内容が一部重複しているコラムがバーチャルライフマガジンにて掲載されています。

【コラム】サンリオVfes2024のキヌさんライブで『羽を渡された』と感じてしまった人の手記 | バーチャルライフマガジン (vr-lifemagazine.com)

第二回目以降のキヌさんライブを観た事による解釈や感想の変化を踏まえつつ、「ライブを観て筆者が感じた事」により注目した内容の記事となっています(ライブの裏話や内容の詳しい説明はキヌさんのロングインタビューHaniwa/アメリカ民謡研究会さんのコラボ楽曲解説記事がすでにしてしまっているので)

このnote記事は消しても良いのかもしれませんが、バチャマガ記事では削った内容も含まれているので、いちおう残しておきます。「あーこの人、最初はこういう事考えていたんだね」と思っていただければ。


SANRIO Virtual Festival(サンリオVfes)2024、キヌさんのライブパフォーマンスを見てきました。
このnoteを開設した理由が前回のキヌさんライブ(サンリオVfes2023における"5th live”)で受けた衝撃を書き残すためだった、という程にこの人のライブには思い入れがあります。去年夏のサンリオVfes2024開催決定の報を聞いた時から、いやサンリオVfes2023のライブを観た直後からずっとこの6thライブの事を考えていたといっても過言ではないほどに。

まだ一回しか見ていないので(3/17,25に再上演予定。あと、配信のタイムシフトって今回あるんですかね?)、踏み込んだ事は書けないし書き始めたらとんでもなく長くなりそうなので、ライブ前に気になっていたことに関連した感想を書いていこうと思います。

(注:この記事は筆者の所属している団体等とは一切関係のない、単なるキヌさんファンによる感想文となっております。ご了承ください)

結論を先に述べると

「VRの次の世界」に向けてのキヌさんのメッセージ、しかと受け止めました。ありがとうございます。

というのがこのライブの感想になります。
とはいえ、これだけでは何を言っているのか、なぜこんなことを言い出したのか分からないと思いますので、ここからは「ライブ前に気になっていたこと」の説明から順番に始めていこうと思います。

ライブ前に気になっていた事

1.キヌさんの考える「はじまりの次の世界」とは何なのか?

僕は2023年のサンリオVfesで見た「はじまりのおわり」というタイトルだったキヌさんライブに大いに衝撃をうけ、『VRChatの、そしてVR文化の「はじまりの次の時代」とは何だろう』と考えるようになりました。
その結果が去年末に書いた、以下の記事です。

VRの『つぎの世界』は何か、『リアル世界』と『VR世界』の関係性から考えてみた|きっどえー(kidA jp) (note.com)

記事を書いてる最中、そしてその後も『キヌさんはどう考えているのだろうか? 』という思いはずっと持ってました。
2023年1月のあの日から、間違いなく世の中は進んでいます。『メタバース』という言葉が投機色を失い、VRの世界に元から居た人にも受け入られていく一方「コロナ禍も終わったし生成AIの勢いも凄い。もはやVRなんて時代遅れ」なんていう声も聞こえてくるようになりました。少なくともVRの世界が『はじまり』の時代に返っているとは自分には思えないです。
そんな理由で、キヌさんの次回のライブは必然的に『はじまりの次の時代』に触れたものになるのだろう、それがどんなものか見たい。そう考えていました。

2.「バーチャルYouTuberのいのち」をどうするのか?

「キヌさんは『はじまりの次の時代』をどう考えているのか?」という疑問と関連しているともいえるのが、この「バーチャルYouTuberのいのち」の扱いについてでした。

「バーチャルYouTuberのいのち」はキヌさんの代表作です。この曲は5年前にYouTubeに動画が投稿されて以降、アレンジを加えつつもキヌさんのナンバーが付いたライブ(1st~5thまで)の全てで演じられてきました。

さて、僕がサンリオVfes2023のライブ(リンク先はライブのアーカイブ動画)に衝撃を受けたあとにキヌさんのYouTubeチャンネルでサンリオVfes2021でのライブのアーカイブ動画を見返していて、あることに気づきました。

「『バーチャルYouTuberのいのち』での演出、2021と2023でほとんど変わって無いのでは?」

曲だけでなく、パーティクルなどのVR演出も2021と2023でほとんど変わってなかったのです。
(本記事を書くために、二つのアーカイブ動画を同時再生して見比べて確認したので間違いは無いと思います)(われながら暇人だと思う)

VR表現の最前線を進んでると言われてる人にしては意外に思える行為だし、そもそもサンリオVfes2023出演時にキヌさんはコメントで

(……)全てが移り変わっていく中で在り続けるということは変わり続けているということで、(……)

SANRIO Virtual Festival 2023 in Sanrio Puroland 公式サイト

と書いています。「変わり続けなければそこに在る事も難しい」ことを理解している人が漫然と一年前と同じ演出を持ってきていたとはちょっと考えられないです。

ではなぜか。僕は、「キヌさんは意図的に同じ演出にしたのだ」と解釈しています。前回と同じ曲・同じ演出の直後に新曲である「はじまりはおわり、」を畳みかけたことで、「始まりの時代」の終わりとその次の時代への思いを表現したのだろうと。
それまでのライブでは「バーチャルYouTuberのいのち」が必ずライブの最後の曲になっていた事(キヌさんのチャンネルには1st~5thライブのアーカイブ動画があり、それで確認することが出来ます)、2023のライブ直後にVR会場に出現したクレジットでは「はじまりはおわり、」がエキストラトラック(ex.)扱いになっていた事もその説を補強している、と僕は考えています。

でも「敢えて前回と同じ表現をする」なんて芸当、そうそう何度もしてよい事ではないでしょう。次回のライブでは「バーチャルYouTuberのいのち」の内容や演出を変えてくることになるだろう、と考えていました。
……でも、どうやって?具体的な変更内容ついてはさっぱり予想がつかないまま、当日ライブ会場に向かいました。

ライブの最中に感じた事

1.ライブの内容が「キヌさんの回答」だと確信した瞬間

散らかっていたステージを「片づける」所からはじまり、光と文字の奔流にワールド全体がさらされ、空間がまるでルービックキューブのように回転する(この「回転する」部分、文字や写真どころか動画を撮っていたとしてもちゃんと伝えられる自信が全くありません。そんな感情を初めて抱くほど、VRでしか体験しようがないことをやっていた)。
その内容は、2021,2023のサンリオVfesとは異質であり、2023の続きではなく明らかに違う事をやろうとしているように感じました。

ライブ終盤で「なんどでも、なんどでも!」とキヌさんが叫ぶシーンキヌさんが羽を生やし、「はじめましょう!」と叫ぶシーン(3/17訂正:「なんどでも、なんどでも!」はライブ冒頭に出てくる言葉でした。自分でもなんで記憶が混線したのか理解できない)を見た時、自分の中に確信が芽生えました。
「これは、間違いなくキヌさんによる『はじまりの次の時代とはなにか』という問いへの回答だ」と。

時代が変わったことを受け入れつつ、『それでも自分はやり続けるしかない』という意志を再度提示されたような。そんな感覚を覚えました。

2.代表作を『封印』したセットリスト

ライブ後、セットリストがキヌさんのX(twitter)上で発表されました。

「バーチャルYouTuberのいのち」を封印してきた!
可能性を考えてなかったと言ったら嘘になりますが、相当思い切ったことをやってきたと思っています。コラボ相手にHaniwa/アメリカ民謡研究会さんを選んだことも含め。
(アメリカ民謡研究会さんは機械音声によるポエトリーリーディングを主体とする作風の方です。「ベースが好き」とXのプロフィールで自己紹介していることも含め、キヌさんに近いフィールドで創作活動している印象があり「良さを相殺するようなことが起こらないのかな?」と心配になった時もありました。けっきょく杞憂でしたが)

まとめ

というわけで、キヌさんのライブで僕が

「VRの次の世界」に向けてのキヌさんのメッセージ、しかと受け止めました。ありがとうございます。

と言いたくなった理由について書いてきました。
時代が変わろうとも、挑戦し表現しつづける姿勢自体は変わらず持っていていいし、持ち続けるべきなのかもしれませんね……

自分はどうなんだろう。とりあえず、次回のライブ見る時までに考えておこうと思います。

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