シリーズ・留学を考える [26] - こんな留学生がいた : 女子ラグビー高校留学生
弊社の中学高校留学生には、女子留学生も多い。
その中でも、ラグビーを留学の一つの大きな目的としていた長期の女子留学生たちがいた。
一人は、彼女が日本の中学3年生のときから3年間長期留学をしていた。まだニュージーランドにラグビーをするために留学する女子高校生はほとんどいなかった時代、彼女は高校のラグビーコーチのお宅にホームステイをして、ニュージーランドの女子高校のラグビー部に入った。
最初は英語もほとんどわからず、ニュージーランドの生活も全く初めてで、かなり戸惑ったようだ。でも、ラグビーでもめきめきと力をつけ、留学初年度の16歳のときに、地域のU18代表に選ばれるまでになった。
地域代表の試合を観にいったけれど、彼女はまだ他のどの選手よりも体が小さかったにもかかわらず、先発メンバーで出場していた。大雨の中、必死にボールにくらいついていき、大きな選手に果敢にタックルしていた。
泥だらけになり、踏みつけられ、跳ね飛ばされ、雨でびしょぬれになっても、何度も起き上がっていた。
そして試合後彼女は「楽しかったです!」と満面の笑みで言った。
留学2年目、3年目も地域代表に選ばれ、所属する高校のチームは、地域でもトップの成績を残すまでになった。彼女の活躍が大きく貢献したのは間違いない。
今でこそ日本でも女子ラグビーの存在はマスメディアなどでも大きく取り上げられ、セブンズがオリンピック競技にもなっているけれど、2009年当時はまだ、「女子でラグビーをするなんて!」という反応が多かった時代だ。その時代に、ラグビー王国ニュージーランドで3年間、ラグビーを中心に高校留学をして、しかも選手としても高い評価を受け、地域選抜にも選ばれ、チームの勝利にも大きく貢献したのは、まさに女子ラグビー界のパイオニアと言っていい。
彼女は、留学3年間で英語力も伸ばし、ホストファミリーやチームメイト、学校の先生にもかわいがられ、今でも日本でラグビーを続けている。
そして彼女の妹も、2012年から3年間、同じ高校にラグビー女子高校留学をしていた。
彼女もコーチのお宅にホームステイをして、地域の代表にも選ばれた。そして、3年目には、所属チームが地域で優勝。そこまでの勝利の道のりでチームに大きく貢献した。
留学3年目になると、後輩たちの面倒もよく見ていたし、友達からもとても頼りにされていた。普段はあまり話さない印象だけれど、周りの人たちへの気配りがすばらしく、芯が強く、自分の考えをしっかりと持っていて、頭もよく、いつも深く物事を考え、そして誰からも信頼される留学生だった。
留学3年間でラグビーも留学生活もいろんなことがあったけれど、そんな経験を通して大きく成長した留学生だ。
そしてやはり、姉妹二人を15歳で長期の高校留学に送り出した彼女たちの親御さんはすばらしい。
二人とも留学を決めたのは中学3年生のときだ。留学に行こうと決断する本人たちもすごいけれど、15歳の娘さんたちを長期高校留学に行かせようと決断する親御さんもすごい。
何度もご両親とお目にかかってお話させていただいているし、トータルで6年間姉妹をニュージーランドで見守ってきて、何度も留学生活のご報告を差し上げている。その間、「このご両親だからこそ、この姉妹はニュージーランドでがんばって結果を残すことができるのだ」と強く感じた。
ある時この女子留学生に、「留学生活に関してご両親は何ていってますか?」と聞くと、「うちの両親にはいつも、「自分でちゃんと考えろ」と言われてます」とのことだった。
15歳の娘さんを長期で留学に送り出して、「自分で考えなさい」と言うのは、親としてかなり勇気がいる。親御さんはほんとうはものすごく心配だろうし、これをしてはいけませんとか、これをしなさいとか、口に出して具体的に伝えたいと思う。
でも、そこをぐっとこらえて、自分で考えなさいと、娘を信頼して任せる。それは親御さんとして、かなり強い信念がないとできないだろう。
この姉妹とご家族からは、私たちもいろんなことを学ばせてもらった。それは、留学エージェントとして留学生をサポートするということだけではなく、親としてどうすればいいのかということも、同じ、娘を持つ親として教わったように思う。
これから十代の女子中学高校生をニュージーランド留学に送り出す親御さんは、男子留学生とはまた違うご心配もあると思う。でも、娘さんを信頼し、任せ、それが娘さんに伝わり、そして安定した留学生活を送り、成長する。
そんな女子高校留学生たちとご家族がいたのだ。
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