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シリーズ・留学を考える [5] - 日本と異なる教育を受ける意味

留学を考えるシリーズ第五回目。

日本と異なる教育を受ける意味について。

留学をすると、留学先の教育機関で何かを学ぶ人が多いだろう。そこは、教育システムも違うし、カリキュラムも違うし、教え方もちがうし、施設や設備も違うし、基本的な考え方も違うだろう。

たとえば、ニュージーランド教育省のウエブサイトの「Education in New Zealand」のページには以下のように書かれてある。

「Our education system reflects our unique and diverse society, which welcomes different abilities, religious beliefs, ethnic groups, income levels and ideas about teaching and learning.」

「私たちの教育システムは、独特で多様な社会を反映しています。その社会は、異なる能力や信教、異なる民族や収入水準、そして教育と学習に関する異なる考え方などを迎え入れます。」

教育省の「Education in New Zealand」のトップに、「私たちの教育システムは、独特で多様な社会を反映しています。」といきなり書かれてある。これは、「ニュージーランドは、他の国と違っているし、国の中にもさまざまな人たちがいることを前提とした教育を行う」という宣言だ。つまり、ニュージーランドの教育は、独自のものであり、多様性を原則として行われていることを表している。

だから、実際の教育現場でも、「いろんな人がいてあたりまえ」という原則があるし、日々の学校生活も、この原則にのっとって進んでいることが期待できる。

ニュージーランドの学校教育のカリキュラムは、まずは、Year 1 (小学1年生)から、日本の高校3年生にあたる13年生(Year 13)までの学年をまたぐ形で、8つのレベルに分けられている。

おおよそYear 1 からYear 3 がLevel one 、Year 2 からYear 6 の途中くらいまでがLevel two 、Year 12 からYear 13くらいがLevel eight だ。このレベルは、NCEAのLevel 、つまり国家資格のLevel とはまた違う。

カリキュラムのLevel に応じて、各教科の内容が決まっている。ここで重要なのは、学年に応じて明確に別れているのではなく、おおよそ設定されたカリキュラムのLevel に応じて分かれていることだ。

たとえばEnglish は、Listening、Reading、Viewingと、Speaking、Writing、Presenting の2つに大きく分かれており、それぞれに、Processes とStrategies、PurposeとAudience、Ideas、Language FeaturesなどがLevel ごとに定められている。

教科は、以下の8つに分かれていて、全ての教科でカリキュラムのLevel ごとにEnglish同様に内容が定められている。

English
The Arts
Health and Physical Education
Learning Languages
Mathematics and Statistics
Science
Social Science
Technology

学校教育で行われる教科分けも日本とは少し違うけれど、数学(算数)がMathematics とStatistics (統計学)に別れているのも一つの大きな特徴だ。

その内容は教育省のサイトに詳しく書かれているけれど、「Statistics is the exploration and use of patterns and relationships in data.」と定義されているので、基本はデータを扱う学習だ。

Statistics はMathematics と合わせて、「students develop the ability to think creatively, critically, strategically, and logically」つまり、創造的思考力、批判的思考力、戦略的思考力、論理的思考力を身に着けることを目的としている。

言い換えると、Year 1からYear 13まで、数学(算数)の授業では、創造的、批判的、戦略的、論理的思考を実践し、その力がついているかどうかが評価対象となる。

この他にも、ニュージーランドの教育は独自のものがあり、それに基づいて全ての教育機関で教育が行われている。

もちろん、ニュージーランドの教育が世界一だというのではないし、日本の教育よりも優れていると言いたいのでもない。

でも、ニュージーランドの教育も日本の教育も、その他の国の教育と異なることは確かだ。

そして、ニュージーランドで教育を受けた人たちが、ニュージーランドで親になり、教師になり、政治家になり、スポーツ選手になり、芸術家になり、職人になる。そしてそれらの人々が国を、政治を、文化を、芸術を、経済を作っていく。つまり、ニュージーランドの教育がニュージーランドを作っているのだ。

言い換えると、今のニュージーランドを見ると、もっと言えば、今のその国の状態を見ると、それまでのその国の教育の成果がわかる。ニュージーランドもそうだし、日本もそうだ。

そして今は、日本以外で教育を受けることを自由に選べる時代だ。中学生の年齢から数年間を、日本以外の教育環境で過ごすこともできるし、大学教育を海外受けることもできる。そんな人も増えてきている。

人生を大きく変える10代の年齢で、どこでどんな教育を受けるのかはとても大切だし、大学でどんな人たちと一緒に学び研究をするのかも、その人の将来を変える。若い時に受ける教育は、その人に計り知れない影響を与える。

そしてどこでどんな教育を受けるのかを、今は自分で選ぶことができるのだ。

それが、留学をして、日本以外で教育を受ける意味だと思う。

Ministry of Education
Education in New Zealand
https://www.education.govt.nz/our-work/our-role-and-our-people/education-in-nz/

The New Zealand Curriculum
https://nzcurriculum.tki.org.nz/The-New-Zealand-Curriculum

Mathematics and statistics
https://nzcurriculum.tki.org.nz/The-New-Zealand-Curriculum/Mathematics-and-statistics/What-is-mathematics-and-statistics


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