【詩】心もとない場所でただひっそりと

暗く深い色に染まった空を見上げる。
何光年も離れたところから輝きを放つ星たちが、
また、日々満ち欠けを繰り返す月が、そこにはある。
光はほんのかすかなたよりないもので、夜はそのどうしようもなく心もとない何かからできている。
心もとないのに、それは心地よい切なさでもある。
少なくとも夜の闇の中でひっそりと息をひそめる間だけは、
私は他のすべての人と同じ存在であると思えた。
つらくはない。絶望でもない。
私はただ何者でもない薄い存在であると言うこと。
それを自覚しているのだから、いくらかマシと言えるだろう。
何と比べているのか、誰と比べているのか、
本当は比べようもないのに、必死で何かとの対比を考えようとしているのかもしれない。
マシだと思えなければ、きっと私はここに立っていられない。
そんな風に、心もとない存在であるのだということ。

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