な日的記 10/22

ラスクがおいしい。
日記的なエッセイ「な日的記」です。

そしてこのエッセイはランダムに選んだ5つの単語に、
砂糖をまぶして油で揚げる企画。

使用しているサイトはこちら↓

そして今回の単語はこちら、


ナップサック問題

出かけるにあたりどの大きさのカバンを持っていくのかは、本当に悩ましい問題である。途中まで手ぶらで行こうとしたら雨が降りそうなことに気づいてトートバッグを出す羽目になったり、遠くに出かけるからナップサックにせっせと荷物を詰め込んでいたら、びっくりするくらいスカスカになってしまって、結局中身をトートバッグに詰め替えるなんてこともある。

これを引き起こす要因としてはやはり、遠くに行くほど荷物が多くなるという錯覚によるものだろう。現在は交通機関が発達しているのだから、遠くに行くのに必要なのはお金だけである。ピッケルやボートではない。

心臓破り

心臓破りの坂も、ゆっくり歩けばちょっと息が切れるくらいの坂になる。散歩をしているとたまに息が上がるが、心臓が破れそうになることはない。
今になって心臓が破れそうになるのは、ゲームで勝てそうなときとか、ホラー映画を見ている時くらいしかない。

私の心臓は今後も破れることもないし、毛が生えることもないだろう。

警視総監

警察の階級の複雑さは意味不明すぎる。たまにバラエティー番組の警察特集みたいな奴で警察の階級を名探偵コナンに出てくるキャラクターで説明していて、何回も見ているはずだけど、覚えたためしがない。

名前の有名さに反して「警部」のランクが高かったことを覚えている。
これを利用して、職質されたときに「お巡りさん」じゃなくて「警部さん」といった方が相手の本来の階級よりも高い階級で呼んでいる可能性が高いから、優しくしてくれるというライフハックを思いついているが、試したことがない。

透明度

肌の透明度という言葉が納得いかない。肌は透明じゃないからだ。世間でいう肌の透明度が高いというのは、つやがある、とかきめが細かいとかそういうことを言っているんだろう?ならそういえばいいのに。

本当に肌が透明なら肌の内側にある血管や筋肉が見えてしかるべきだろう。もしそんな人がいたら顔面にけがとかできた時に診察しやすそう。
ちなみに、肌が透けているカエルは実際に存在して、内臓が見やすいからという理由で実験動物として飼育されているよ、苦手な人もいるだろうから気になる人は自分で調べてね。

多重人格者

僕は多重人格者だ。二人の人格が僕という一つの身体に入っている。普段は僕が前に出て生活しているけど、困ったときは彼女が出てきて助けてくれる。今日もスーパーで買い物しているときに財布をどこにしまったか思い出せず困っていたら、彼女が出てきて支払ってくれた。きっと彼女が出てきたときにしまっていたのだろう。

外ではトイレに行かないようにしているので、家に帰ってまずすることはトイレに行くことだ。そして今日買った食材を冷蔵庫にしまう。食事は僕と彼女が一回ずつ摂るのでなるべく一回の食事量が少なくなるようにしている。毎回しっかり一食分食べていると単純に2倍の食事になって健康に悪そうだし、何より食費がバカにならない。体は一つしかないから仕事も一人分なので正直言うと今でも1.6人分くらいの食費で困っている。この身体ではできる仕事も限られているので在宅がメインだし、たまに彼女が出てきて仕事の邪魔をするので文字単価で働いている今では給料も上がらない。

正直に言うとこの暮らしは苦しい、でも直し方もわからない。精神科にかかろうとしたが、うまくいかなかった。大学病院で診てもらうように言われたが、その当時は今よりお金がなかったし、二人分の医療費なんて払えるわけもなく諦めてしまった。そして治療もなあなあになってしまった。もういっそこの手で、と思ったこともあったがそういうわけにもいかなかった。でもいつかは、いつかは、と思っているうちにこの暮らしにも慣れてしまったのだ。それでも心のどこかでどんな手段を使ってでも彼女の人格と別れたいと願っていた自分もいた。

その夜コンビニに行く途中に、彼女が車に轢かれてしまった。あんなに悩んだ多重人格がたった一つの鉄の塊によって治ってしまった。僕は血液型もわからない彼女の血を浴びながら、一瞬パニックになった。こういう時はいつも彼女が出てきて解決してくれた。でもいま彼女は目の前で倒れている。僕の中にもう彼女はいないんだ。自由に、やっと、病気が、もう、悩むこともない。 

肉塊になりゆく彼女を背に、私はコンビニへの歩みを速めた。

おまけ

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