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人間の拡張による幸福の追求

個の発展拡張を極限まで追求しようとするのならば、埋め込み等による改造とか生化学的な能力増強技術の利用をどうして否定できるというのだろうか。

経済動物や園芸植物を飼育・栽培する者は、そのような躊躇いはとうに捨てている。そこでは、巷で言われる命の価値よりも能力の向上が優先される。実行するか否かを左右するのは、コストがその結果に見合うかどうかだけだ。

なぜ人間ではそれが不可なのか?という問いに、私達はどう答えるのか?
この点についてはこれからもずっと、胸に手を当てて自問自答することを迫られていくのだろう。

デバイスの埋め込みによる電脳化とか、人体を工学技術で補強した「高機能障害者」とか、脳の増量による多重制御技術とかを映像で描き尽くした士郎正宗氏の突き抜けた発想(1985年初出。37年前!)は、今見ても古びてはいない。というか、それがこれから現実になってしまうのかもしれないという恐怖がある。

庵野監督の新作映画「シン・仮面ライダー」では、そこに登場する悪の組織「SHOCKER」の名について、それはSustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling のアクロニムだという設定が与えられたという。人間の改造=拡張による幸福を追求する組織だということなのだろうか。
この映画ではSHOCKERにどのような思想を語らせるのか。そして、それに対してどう応えるのか。
作品の映像美などにはそれほど関心はないけど、上記の点はとても気になる。

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