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日本統治時代の台湾原住民政策

日本統治時代の台湾原住民政策については、資源を収奪し労働力を搾取することに終始した、という見方がある一方で、首狩りの習慣に象徴されるような孤立した信仰社会を近代化し、法治と行政に組み込んでいくことを目指していた、という見解もある。

日本版Wiki記事の「樟脳と台湾」にみられる歴史認識は前者の立場を代表するもので、蒋介石が台湾の総統だった頃の公式見解だったらしい。以前作成されたNHKの特集番組にもそういうのがあった。
その一方で私は後者の見解も目にしており、それを支える文献的なものはあるんだろうか、と思ったことがあるけど、そのときには探し当てられずにいた。

今回、思い当って「台湾 樟脳 原住民」をキーワードにして検索してみたら、該当する論文が「台湾学会」のホームページに掲載されているのを見つけた。
獨協大学の松岡格教授による「台湾原住民社会地方化の日本統治時代における展開」と題する論考。戦前(そして戦後も)の原住民政策を一貫して規定していた理念は、原住民居住地域の「地方化」であった、というもの。

論文の発表は2011年。私が初めて台湾に行ったのは2000年(以後何回も行くことになる)で、日本と台湾の関係に関心を持ったのはそれからだ。
当時はまだ、前世代のイデオロギーから離れた見解に基づく文献というものを目にする機会が少なかった、ということなのかもしれない。

(「台湾学会」のホームページによると、同学会の設立は1997年らしい。台湾では李登輝氏が総統として最後の任期を務めていたときだ。)

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