見出し画像

救鹿

(2017.10.8 金華山島で)山頂近くの防鹿柵で大きな音がするので行ってみたら、若い雌鹿が一頭、柵に飛び込んだあと脱出しようとして網に頭を突っ込み、完全に絡まってもがいていた。このままだとやがて死に、網にぶら下がった白骨死体が出来上がることになる。

そんなものを見るのは嫌なので、助けることにした。近寄ると無茶苦茶暴れるけど、それでさらに網が巻き付いて、首が締まったりするとだめだ。首を片腕で押さえつけて動かないようにする。顔に傷はないけど、興奮して口から泡を吹いてる。

網から外すのが長引くと暴れるうちに体温が上がりすぎ、死んでしまうかもしれない 。サルで,前にそれで失敗したことがあった。

ワイヤーを編み込んだ網を耳の後ろから前に回して外し、顎から鼻の頭にずらして外す。嫌がってばたばた跳ねるけど、途中で止めるわけにはいかない。

全部外した途端、飛び上がって逃げ、こんどは向こうの網に首を突っ込んだ。しょうがないなあもうっ。手持ちのナイフで網を切り、こんどこそ確かに外へ逃がしてやった(事後に修復)。しゃっくりをしたように激しく鳴き、鳴きながら逃げていく。自分の手を見たら、鹿のよだれと毛でべとべと。

一見落着して気が付いたら、網から外すのに夢中で、絡まった鹿の画像を一枚も撮ってなかった。

絡まってからどのくらい時間が経ったのかわからないけど、かなりもがいたらしくて、足元の土がすっかり掘られている。

角のある雄鹿じゃなくて良かった。あの鋭い角を振り回されたらこちらが大怪我をしてしまうので、手を出せないところだった。

民話だと、このあと鹿が恩返しに来るんだけどな。何かくれたりしないかな。

画像1

↑ 一件が終わったあと,画像がないことに気付き慌てて撮った一枚。絡まった網から逃れようとした鹿が地面を掘った跡。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?