Stigma

「stigma」という語は、イエスの受難に由来する「聖痕」という邦訳からして、それを受けた者の尊さを強調する言葉だと思っていた。
しかし今は、他人に着せる汚名、他人の属性に対して与える烙印といった否定的な意味合いを込めて使われる言葉だと知って、意外だった。

言われ無き受難というものは、神=ロゴスの代理人である(あろうとする)イエスからすれば、真実を理解していない相手の主張や侮蔑をも受容し、一切を我が身に引き受けることが、全てに対する無条件な神の愛を代行する行為だと示すための最高の(自身の犠牲を伴う)機会だと思えたのだろう。

そういう意味合いのあるstigmaだと思っていたのだけど、そのとき負わされる汚名や烙印といった部分だけを捉えて、限定した意味で使っているのだとすれば、ずいぶんとまた語の意味を矮小化したものだなあ。
(2023.5.19)

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