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多様性の排除

りんご園にある「紅玉」で、着色が薄く紅の縞模様がよく見える枝変わりを見つけた。一昨年伸びた新梢の先端で、芽条変異が起きたらしい。

他の果実が濃く着色したなかでよく目立ってはいるけれど、着色が薄い系統に実用上の利用価値があるとは思えない。

観賞用ならまだしも、生食用としては同一品種なら均一な形質の果実が欲しい果樹園では、不要な存在。

果樹園や牧場で利益の向上というひとつの目標を追求しようとすれば、多様性や個性の尊重といった価値観は排除するか、少なくとも副次的なものとするしかない。

そうして飼われる生き物の、人間社会での人の扱いとの違いを目の当たりにすると、その落差の大きさに目眩を感じる時がある。

だからといって手を休めるわけにはいかないのだけど。


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