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夏梅の降りつもる葉のしら雪に黄泉の闇なお濃くなり増さる(2024.6.25)
冴え冴えと風吹き渡り雲流れ憂いも惑いも散り去りにけり(2024.5.29)
残酷な陽の責め苦すら吹き流すこのひとときの夏の朝風(2024.7.30)
山芽吹き 山吹色の花添えて 冬の眠りを覚ますこのとき(2024.4.26)
山桜 待ち焦がれたる遅き春 見向かれずとも華やかに咲け(2024.4.22)
番紅花(クロッカス) 咲けよ久遠の時越えて ギリシャの野にも この巷にも (2024.3.17)
冬の死を悼む小鳥の歌響き 雪踏む我も変若ち返りけり (2024.3.11)
ひととせに 千歳のいのち 刈り重ね 屍のうえに 我等生きゆく
吹雪なる名の菓子割りて餡黒の 雪闇融かす甘さを愛す
薔薇色に 浮かび輝く夕雲の 闇に沈める 地を瞰む刻 (2022.12.30)
不忘(わすれず)の山の白雲仰ぎ見て我何故(なにゆえ)に歩むかを識る
歯牙堅く 舌鋒鋭き姥百合が 背筋伸ばして 浮世見渡す
一面に「首都壊滅」との見出し載る日をぼんやりと想う雨闇
桷咲きて 早月の木立ち輝けど いづれ散りゆくいのちなるべし 桷散りて 華やぐ日々を想いつつ 孕みのときを迎える木陰