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また、春がくる

花粉が喉に来るタイプの人間なので、ここ数日の喉の痒みと痛みが、如実に春だと伝えてきている。そんなこの頃。
気がついたら、暦は3月になっていて、世間が新入社員を迎え入れる用意を始めていた。

世間はもっと早いのかもしれないが、自分がここでいう「世間」とは、実にちっぽけな「自分の世界」を指標にしている。
そんなわけで、仕事の忙しさを理由として、最近は色々と安定している気がする。

<忙しいと何も考えられなくなる>という現象が起こる。
それが良いのか悪いのかは別として。

その日はいくつかの用事があって、田舎特有の微妙な位置どりで点在している場所を経由する必要があった。
スタンプラリーと一緒。
車での移動を検討していたのに、あまりの春の陽気と、自らの余力がうまく噛み合って、サイクリングをするなどした。
普段なら、体力も気力も追いつかずに絶対していない。こんなこと。

帰り道にコンビニでフランクフルトを買った。
ソーセージの周りの生地(いまだに正式名称を知らない)が多くついていて幸せになった。

15時を回った頃には、小学生の下校集団が現れ出した。
迂回するように田圃道を選ぶ。
隣の大通りでは、路面補修の工事音。トラックで休む作業員。
晴れた空、程よい風、響くチャイム。
田舎でよかったな、と、ぼんやり思った。

1時間くらい自転車でフラフラしていた。
少し汗をかいた。あたたかい。
頭が少し、すっきりした気がした。こうしてまた、春がやってくるのだと肌で感じる。
良い日を過ごすことができた、と、大きなくしゃみをして、しみじみ思うのである。

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