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コツは「売る気にさせること」

私の義父は天才的な交渉術をお持ちだ。不得意な分野はなく「交渉が必要であればなんぼでも」と、心強い限りだ。車や家電は当たり前のように2段階限界突破し、生活品の全てに「交渉の余地はないか」考えているのではないだろうか。唯一交渉していないのは、赤ちゃん用品で「孫のことを考えながら買うと交渉を忘れる」らしい。さすがに乳幼児用品で交渉はハードルが高いか、と聞いたが「でも必要なら言うてや、なんぼでもやで」と自信に漲っていた。お願いをしてしまうと常習なさるだろうと思い、とてもお願いはできない。

交渉自体は、聞く限りやはりタフなようで、「限界です」から準備体操が始まり「もうほんとにこれ以上は」から交渉開始らしい。それに耐えうるスタミナは私にはないため、今までお願いをしたことはない。(大の大人が、大の大人に交渉を頼むのも気が引ける、、)義母は40年以上?この交渉を幾度となく見届けているが、ただ下むいて売り手に謝っているらしい。義父の名誉のために付け加えると、その交渉した営業マンや店舗とは、交渉したっきりで終わりにせず、深い関係を築くところがまた素晴らしいと思う。客の紹介やリピートは勿論のこと、先方が退職した場合も新しい就職先/店舗に出向き客になったり、店員-客の垣根を超えて個人的な付き合いもされている。私も紹介として訪れたことはあるが、義父はいわゆる「太い客」になっており、 確かに先方から歓迎され、どこか頼りにもされているようだった。

興味深いことは、Mr.交渉の義父は超!口下手である。見た目も決して強面ではない。健康マニアで還暦を優に超えてもムキムキではあるが、外見や話し方から圧を感じることはない。「娘さんをください」的な結婚のご挨拶をしに行った際も、むしろ義父の緊張過多で、そのお陰で他全員はリラックスできてしまう程の柔らかさもある。

なぜ、巧みな話術があるわけでも、圧があるわけでもない義父の交渉は、それほどまでに上手なのか(ちょっと失礼か、、)。

私は名言だと感じた。「売りたいなぁ〜と思わせるんや」

weak pointや他社比較、購入予算等は二の次で「売り手に『売りたい!』と思わせる」ことが、交渉術の肝だという。

「どうせ皆気持ち良く買い物したいやろ。気持ち良く仕事したいやろ。『気持ち良く売りたい』と思わせれば、気持ち良く買えるやろ」

では、どうすれば売り手に気持ち良く「売りたい!」と思わせられるのかと言うと、それはcase by caseのようで、素人の私にはすぐに身に着けられるようなものではなかったし、プロの義父でも一発で話をまとめられるわけではないようだ。

私がハッとしたのは、購買活動の際に「交渉」や「スキル」というと売り手が身につけるもので、売り手が主役で語られることが多いこと。買い手が売り手を操作するようなマインド・視点は欠けていると感じたからだ。皆少なからず「どう売るか」に携わっているため、「どう買うか」については情報やマインドが欠けているように思う。「こうすれば売りたくなる」「なぜ彼は売りたくなったのか」「消費者ではなく製造者のAMTUL」「売りたくさせるための7つの心得」「売される力」「売らせスキル」等のような内容で本をまとめられたら面白い。決してリーダーが部下に売りたくさせるなんて話ではなく、「客が店員に売りたくさせる」ためのエッセンスを整理できたら面白いと思う。

ちょうど私は今、車の買い替えと不動産購入を検討している。「この人/会社は、どうしたら気持ち良く売りたくなるのか、、」と考えながら商談するのも新鮮で楽しいかもしれない。

この人は「どうすれば気持ち良くなるのか」「なにをしたら嬉しい人なのか」

新しい気づき、パラダイムシフトをありがとうございます(_ _)

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