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世界の端

子育てしている中や、仕事上の関わりや犬友など、日々本当に色々な人と話す。
夫と娘ともよく会話するし、友達とも長話する。
夫とは一緒にいて楽しいから結婚したわけだし、娘は自分の子だから無条件にかわいい。友達とも気が合うから続いているわけだけど、 はじめましての人と話すのも苦にならないどころか、大体は面白いと感じられる。私は人見知りではなく、むしろ、子供の時から、あんまり気構えずに誰とでも話せるタイプ。
そして、他人と話せば話すほど、自分の親兄弟の異様さを感じる。

もちろん、肉親として付き合うからこそ出てくる汚い面、闇の部分は、誰しもあるだろう。が、自分の親兄弟ほど何を考えているかわからなくて、何を言い出すか予測もつかない人達はいない。
父が突然言葉の刃を向けてくるのも、母が急に不機嫌になるのも、本当に怖かった。

ずっと違和感はあった。けれど、幼い頃は上手に言語化できなかったし、ある程度成長してからは反抗して、全て押さえつけられて、その後は「いきすぎた親の愛情」みたいに自分で自分を納得させていた。
異常だけれど愛情と思っていたし、そう思いたかった。
最後の一押しは、やっぱり弟のことだろうな。結局、手がかかって、一生庇護下に置ける子供がかわいいだけなんだと。私のことは、単に所有物のように思っていただけなんだとわかって、ポキリと折れた。

両親は「こっち側」と「あっち側」みたいなのを、明確に線引きする人で、弟もすっかり洗脳されてしまった。小学校から私立に通って家族でフレンチを食べに行く「こっち側」、ショッピングモールで子供を走らせている家族は「あっち側」。「こっち側」の人間には擦り寄り、「あっち側」には眉をひそめる。

だからかな、私は簡単に世界の端っこに立ってしまう。
今の家族と環境は幸せなのに、不意に、断崖絶壁に立っているような気持ちに襲われる。主語が大きすぎて自分でも笑うけれど、こんな戦争だらけで終わりかけている地球に生きていて、何の希望もないと感じたりする。
世界の端を感じるのは一瞬で、そのたびに家族や友達が戻してくれる。犬がいてくれて良かったなとしみじみ思う夜もある。

絶望の頻度を下げるには、とにかく実家から距離を取ること。離れること。こうして今日も覚え書きしておこう。

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