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言葉の刃

自分達の狭い価値観に合わない人間を、「くだらない」「下品だ」「おかしい」と、すぐに言う両親だった。
誰にだって、合わない人間はいる。私にもいる。到底受け入れられないような価値観もある。が、両親はそれが極端だった。
そして、その言葉の刃が、子供にとってはどれだけ深く突き刺さったことか。

とんねるず、ダウンタウン、小学校の時に見たかったテレビ番組はみんな禁じられた。謎のNHK信仰。今となっては笑って話せるけど、正直、ずっと許さない。
スマホもYouTubeもなかったあの時代、テレビ番組という娯楽がどれだけ大きかったか。
本はいくらでも買ってもらえたけど、私だって、みなさんのおかげですを見て、ガラガラヘビの歌をリアルタイムで聞きたかったよ。本当にくだらないけど、今でも、子供時代のことを思い出すと胸が苦しくなる。

あんまり肯定してもらった記憶はない。
そんなことをするとみっともない、そんなものは見るな、あの子はおかしいわよ、そんなことばかり言われていた。
だから私は今でも、自信とか自己肯定感を、幼少期に失ったままだ。

子供は、大人が思っている以上に何でも理解しているという。私もそう思う。でも、その反面、大人の想像をはるかに超えた、柔らかい心を持っているとも思う。
奴らが言った何気ない言葉が、大人になってからもフラッシュバックして、つらい。

奴らとは他人になれない。せめて心の中からは完全に消えてほしい。

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