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サイドステップ音読

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学び方って、色々ありますよね。

私は、読書するのが苦手です。感覚で言うと、走るのが苦手なキタバが42.195kmを走っているような感じ。「ゴールまだまだやん、休みてぇ…」みたいな。

そこで、大学1年生から本の読み方を色々模索するわけです。まずは、散歩読み。別名、「二宮金次郎読み」です。農政のヒーロー二宮金次郎を味わえる読み方となります。眠くならずに読めるのでいいですね。しかし、これは危険が伴うので考えものです。

お次は、スキップ読みです。文字通り、スキップしながら本を読むという、二宮金次郎もびっくりな読み方です。散歩読みが飽きてきたら、スキップ読みの選択肢が生まれます。しかし、欠点としては、人がいたら恥ずかしくて本を読むどころではありません。環境問題や社会課題がうごめく世の中で、「私はスキップしながら本を読んでいる。はずかしぃ」というメタ的な思考で、頭がいっぱいになります。一文字も頭に入りません。おすすめは、お家の中か、早朝の5時〜6時の公園の隅でするかですね。

と、まだまだあるのですが…本題からずれてしまいました。。。戻します。

こうして、色々読み方を開発したのですが、今や1年で100冊を読めるようになりました。ぱちぱち。(半分が絵本であることは内緒)

まぁ、本を読むって行為でも色々な読み方があって、どう読むかは色々試すしかないあなぁと思うわけです。学び方も、色々試す必要がありそうです。

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しかしながら、学び方を教えてくれる機会は少ないように感じます。

何を学ばなければいけないのかは、周りの人や環境から耳にタコならぬ、耳にクラーケンぐらい聞こえてきます。

「耳にクラーケン」

(↑いい響きだったので、かっこよく中央揃えにしました。)

しかし、それと同じくらい「何を学びたいのか、どんな風に学びたいのか」をその子に尋ねる必要があるのかなぁと思っています。

それは、学びの効率がいいとか、これからの社会で学び方を学ぶ必要があるからとか、色々ありますが、それよりも遥かに大切にしたいことは、その人をできるだけ人として尊重したいと願っているから。なので私の前にいるときくらいは「〜せねばならない」をできるだけ最小限にして、「〜したい」にたくさんの時間を当てて欲しいなぁと思っているわけです。

その子がどんな風に学びたいかを、引き出す声かけとして、

「誰とよく一緒に宿題してるの〜?」「どんなところが難しいと感じる?」「宿題するのはどんな気持ち?」「最初は得意なところから始める?それとも苦手なところから始める?」「今日は、どんな計画で宿題するの?何分くらいでしようとかある?」「どこらへんの場所が宿題しやすい?」「分からない問題があったときどうしているの?」「何かを覚えることは好き?」「何かを考えるのが好き?」「何についてもっと学びたい?」「どの教科が好きなん?」「1人でやるのと、みんなでやるのどっちが好きなん?」「お互いに話してて、宿題が進んでないように見えるんだけど、みんなはどう思う?」などなど

(書きながら、いつも自分は声をかけられているのだろうか…反省 笑)

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本日は、サイドステップ読み!

その日は、雨だった。広大な海からやって来た選ばれし雨粒が、僕に突撃してくる日だった。まぁ、そんな僕と雨さんの運命みたいな出会いをする雨の音色は、好きである。

そんなときに「ただいま〜」と、みんなが帰ってきた。いつもの児童ホームのはじまりはじまりである。

しばらく遊んだ後、子どもが鐘を鳴らす。「静かタイムやで〜、みんな宿題しーやー」(そうそう、子どもの生活のリズムに合わせるために、チャイムは子どもに委ねている)

「静かタイムとは、何か?」
これは、子どもにとっては嬉しくない時間である。なぜなら、あやとりに没頭している子も、工作に没頭している子も、絵本に没頭している子も、せねばならぬ仕事(宿題)をしなければいけない時間だからだ。

私たちは、人間として、日本に生まれた人として、学ばなければいけないことが多少あるもので。「〜しないといけない」という出発点から、どう自分に結びつけて取り組んでいくかを練習する時間としてもある。

そんな中、あやとりが大好きな子がいる。寝ながらでもあやとりをするんじゃないかと思うくらい、あやとりをずっとしている。その方をAさんと呼ぶことにする。

Aさんは、鐘の音と同時に、宿題を取りに行った。音よりも速いんじゃないかって思うくらいの俊敏さだ。が、勉強机に帰ってこない。よくよく見ると、ランドセルの前であやとりをしていた。立派な吊り橋を建造していた。

「あやとりをやめて、宿題をしなさい!」と喉のところまで来たが飲み込んで、「今日は宿題どうする?あやとりするの?」と聞いた。するとAさんは「宿題する…」と少し悲しげに吊り橋を見ていた。でも、まだ、あやとりがやりたそうで、うずくまっていた。

その表情を見て、僕も感情が動く。できるだけあやとりができるように一緒に作戦を考えようと提案した。各宿題の時間の目安を立てる。漢字練習20分、算数プリント5分、音読15分、合計で40分で終わると一緒に計画を立てた。

すると、Aさんはあやとりをロッカーにしまい、宿題に取り組み始めた。

そのあとは、驚くべき集中力で、仕事(宿題)を進めて行った。私もホっとした。

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しばらくすると、しゅわんしゅわんと、機敏に体を動かす音が聞こえてきた。よく見ると、サイドステップを奏でながらAさんが音読していた。

ぶつぶつしゅわんしゅわん…ぶつぶつしゅわんしゅわん

最後に、キメ顔で「キタバさん、宿題全部終わったゼ」と、私に言った。

私は「今日は、なんで動きながら音読したの?」と聞くと、Aさんは「動きながらの方が集中しやすい」「集中力が切れそうだったから」と答えてくれた。

Aさんは丁寧に自分の心と対話しながら、学んでいるんだなぁと感じて、ほっこりした、そんな1日でした。

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おまけ。音読カードの「いい姿勢で読めたか」に対しては、どう書けばいいのやら、悩みました。Aさんと「いい姿勢ってどう書こうか?どう思う?」「学校ではどう聞いている?」「自分は動きながら音読って、健康にも頭にもいい気がするけどね」と話し合って、決めました(笑)

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