見出し画像

息子と話す。【HTLV-1キャリアでもある私】回想・・16


息子が家に帰ってきた。夫も帰っておらず2人だけの、珍しい時間であった。「何でお母さんと病院行くのは嫌なの? 一緒に歩くのが恥ずかしいの?」と聞いた。お年頃だからそれもあると思うが、息子の口からちゃんと聞きたかった。HTLV-1について何も言わない息子だが、私に対する感情・・本当は「母から感染した。」という怒りをぶつけたいのでは?と気になっていた。息子の気持ちを知る機会だった。

息子に「お母さんは、いつも泣くから・・。嫌いです。」と言われた。

そうだったのか・・。私が「感染させてしまった。」とメソメソとしていることが嫌だったのか。 別の意味で大きく負担をかけてしまっていたことに気が付いた。息子は生活費もできるだけ親に負担をかけまいと、アルバイトも頑張っている。大学での学びも、交友関係も充実しているようだ。将来の夢の実現に向かい行動をし、しっかり歩き出していた。懸命に生きていた。
「僕は、生きてゆきます。」ということだ。 感染したから、なに?ってことだ。
私は恥ずかしくなった。「息子が心配。」と、いつも私の夫を気にかけている夫母を想い出した。ある意味、私も似たことをしているのかもしれない。夫母の苦しみを、より深くわかってきた。
私も息子の健康については、どうしても案じてしまうのだろう。親はやめられないのだ。
それでも、「心配・・心配」と嘆くだけはやめにする。自分に何が出来るのか・・考えて行動してゆこうと感じ始めていた。

それからは、息子の前では泣かなくなった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?