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読書感想:円を創った男 小説・大隈重信 

図書館はいろいろな本に出合えるのと、期限が決まっているので読む動機が強くなるのはいいですね
今月出会った本

円を創った男、大隈重信。
大隈重信の生涯のうち、各藩ばらばらで、複雑怪奇であった貨幣を「円」としてまとめあげるまでの働きにフォーカスした小説。

倒幕、大政奉還、戊辰戦争の時勢、今まで日本内部だけ見つめておけばよかった時代から、国外、諸外国に相対する為に国をまとめ、国として政府を形成していかなければならなかった時代。

今後日本を助けるのは「外交と会計」と、佐賀藩出身の外交官大隈重信が立ち上がる。
諸外国との貿易が始まるが、通貨に信用性がない。
商人の重要性と会計の大切さを知っていた大隈重信は、語学力と西洋人に臆さない豪胆さで事煩い英国の外交官パークス等と交渉しながら、日本の通貨統一を目指す

そして五大友厚の助言もあり、「両」という重量の単位が元である通貨単位から、このタイミングで方形から円に変形するその形、そして国際で流通していた香港円が元になって消滅するのにともない「円」は日本のみの通貨だとして、新しい通貨の単位を決定する。
この時に10進法の数え方に変更をした。
また、はじめは貨幣のみだったが、紙幣も「より精巧」で贋札が作れないようにするため、ドイツから印刷しその後加工することにして、確立していく。

豪胆さと他人の意見を聞かない、自慢する態度、能力が低いものを貶し、能力高いものしか愛さない性格は、敵も多く、後年、一緒に戦ってきた同輩たちにも裏切られる人生とはなるが、こういった混迷の時代には、「豪胆」というのは必須だったのではないだろうか。

対内から対外へと目を向けた大きな変革の中で30代が大きく日本の社会を変えた。

今。
日本はまたしても内向きの力が強くなってきており、諸外国の波にもまれようとしている。
ここで必要なのは「公家」ではない。
商いを知り、外交を知る「民間の力」ではないだろうか。
時代はまさに新しい通貨価値「デジタル通貨」が始まってきている。
国を今一度まとめ上げ、強い交渉力をもって強い国に導いていく時機が来ていると感じる。

なかなか、為になる面白い勉強になる本だった。




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