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わたしといいたい

書きものの主語は高校生のころから「私」「わたし」だが、チャットのメッセージとか話し言葉はいまだに揺れる。ほんとうは「わたし」といいたいけれど、21年日本で生きてきたので、どうしてもいろいろなことが頭をよぎってしまう。主語を発話するとき、まず主語を省略することができないか真っ先に考える。省略できないとなった場合、そこだけ改まった感じでですます調になる。日常的に敬体で話していても特に不思議に思われることはない振る舞いをしてきたのでそれがすごく嫌ということはないが、その一瞬が、その思考に費やされ、ほんの一瞬、ことばが詰まる。そういうのをすっとばしてつい「僕」と言ってしまったら、やっぱり気持ち悪くてすぐに後悔する。だったらちょっと気難しい人間だと思われても、ずっとですます調で喋っていた方がまだ気楽だ。

たぶん自分はどちらの性別に強く規定されるというよりは中性志向なので、中性的な着物が着たいのだと思う。主語は普段着のようなものだ。わたしといいたい、なんて思わなくなる日はくるんだろうか。

1億円くださった方の名前を論文の謝辞に記載させていただきます