コーポレートITという仕事(一般論編)
僕はnote(旧ピースオブケイク、POC)に情報システム担当、いわゆる情シスとして入社しました。
職の呼び名として「情報システム」ってなんか曖昧だよな、ということで、最近はこの分野を「コーポレートIT」と呼ぶことも増えています。個人的にこっちが気に入っているので、このnoteでもそのように呼称していこうと思います。(note社内でもじわじわ広めていこうと思ってます)
さて、コーポレートITや情シスという言葉は極めて曖昧な概念で、属する業界や会社のステージ、さらには経営層のITリテラシーによっても捉え方が違います。
ある会社では企業のIT戦略を担うCIO(Chief Information Officer)という担当役員を立てて配下に体系的なチームを構築した上で運用する、ということもあれば、ある会社ではITに詳しそうな若手が本来の業務にプラスして押し付けられるケース(当然裁量はない!)もあったりします。
そんな謎な存在であるコーポレートIT担当について、今回は(僕が経験として持っている)一般論をお話ししたいと思います。
コーポレートITに期待される業務
コーポレートIT担当とはざっくり言うと、
プロダクト開発以外の社内のITに関する仕事を引き受ける人
です。どの組織においても概ね以下のような業務を担当します。
これにプラスして、ITを重要視している会社のコーポレートITは以下も要求されることがあります。
もちろん、どこに重きを置かれるかはその組織によります。(大学ではヘルプデスク、前職ではNWの設計・構築でした)
コーポレートITが持っているべきスキルセット
上に挙げた通り、コーポレートITは様々な仕事を領分とするので、要求されるスキルも多様です。この仕事を「普通に」こなしている人は、以下のようなスキルを多かれ少なかれ持っています。
上記のようなスキルセットが必要であるため、コーポレートITは元々ITエンジニアとして開発をやっていた人がほとんどです。僕もそうですし、前職の上司も先輩も部下もかつては開発をやっていました。
なお、5年くらい前までは「物理サーバに関する知識」も必要とされていました。しかし最近はAWSやGCP等の台頭により、そもそもブツとしてのサーバを立てる局面が減ってきたので、特に新し目の企業では重要視されない傾向があります。(知っているに越したことはないですが)
なぜ、コーポレートIT担当が置かれるのか
結論を先に言うと「企業が大きくなるにつれ、いないと段々困ってくるから」です。
会社が小さいうちにコーポレートITが置かれることは稀です。大抵のスタートアップの黎明期には営業担当とエンジニア、あとはせいぜい経理(という名のその他なんでも)担当が一人いるくらいで、当面は営業とエンジニアの業務を補完する人材が採用されていきます。
その段階では、上に書いたコーポレートIT的な業務は引き取れそうな人が担当します。例えばNWの面倒はエンジニアのAさん、物品購入やIT資産管理は経理のBさん、アカウント管理はのCTOのCさん、のように。当然本来のミッションの片手間でやることになり、ポリシーやルールも設定されず、各々の感覚と裁量で運用されます。
組織が小さいうちはこのやり方でも問題ありません。そもそも片手間で引き受けられるくらいの規模なので。
しかし組織やサービスが拡大していくと、この片手間部分の業務量が肥大化して本来の業務を圧迫していきます。さらには片手間でやっているが故のミスや漏れが生じ、本来の領分でないところで余計なリスクや責任を負う羽目になります。小さい組織にありがちの頻繁な人の出入りにより、宙ぶらりんとなる業務も出てきます。
そうこうするうちに、
気づいたら社内NWのルーティングがカオスになっていたり(実話)
気づいたらx百万相当のサーバが行方不明になっていたり(実話)
気づいたらサーバ室の奥に隠されていたクリームパンが腐臭を放っていたり(今でも嘘だったと思い込みたい)
そこで、こういう仕事を一手に引き受けかつ専門知識を持って管理することで、セキュアに社内のITの面倒を見られる人間が必要になってきます。それがコーポレートITが必要とされる背景というわけです。
※人事労務あたりもこのパターン(片手間→パンク)に当てはまることが多いように見えます。
まとめ
かなり長くなりましたが、今回はコーポレートITの仕事や素性、必要とされる背景を書いてきました。次回は、じゃあお前はどういうふうに仕事したいのか、ということを書きたいと思います。
より長く走るための原資か、娘のおやつ代として使わせていただきます。