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[EDITORS FILE] 大塚啓志郎/ライツ社(兵庫)

関西で活動する個々の編集者の考えやポートフォリオ、編集の価値観などを紹介する「関西編集保安協会 EDITORS FILE」。ライツ社所属の大塚啓志郎さんをご紹介します。

氏名:大塚啓志郎
所属:ライツ社代表取締役社長/編集長

プロフィール・経歴

1986年、兵庫県生まれ。2008年、京都の出版社に入社し、編集長を務めた後に30歳で独立。2016年9月、地元である兵庫県明石市でライツ社を創業。「write,right,light.(書く力で、まっすぐに、照らす)」を合言葉に、自分たちがおもしろいと思う本だけをつくっています。近刊は『社会の変え方』『リュウジ式至高のレシピ』『認知症世界の歩き方』など。

大塚啓志郎さんへの一問一答

ー 編集に携わろうと思ったきっかけは?
前職の出版社が出していた『1歳から100歳の夢』という本を学生時代に読んだことです。
タイトル通り、日本中の1歳から100歳の方の夢を集めて顔写真とともに掲載した本なのですが、
有名人がまったく載っていないのに10万部を超えるベストセラーになっていました。
「これが企画か!」と強烈なインパクトを感じたのを覚えています。
で、こんな本をつくりたいと思って、その出版社に入社しました。

ー これまで編集したものを教えてください
独立後だと、『社会の変え方』(泉房穂)、『認知症世界の歩き方』(筧裕介)『リュウジ式悪魔のレシピ』(リュウジ)、『BEST作品集HEROES』(ヨシダナギ)、『毎日読みたい365日の広告コピー』(WRITES PUBLISHING)、『もうあかんわ日記』(岸田奈美)、『マイノリティデザイン』(澤田智洋)、『売上を、減らそう。』(中村朱美)など。

ー 編集者としての特徴や得意な領域は?
ニッチなテーマ(なにかしらのオタクである著者)をメジャーな作品(ベストセラー)にすることです。
そのために本を企画・編集するだけでなく、売るところや広報まで一貫して責任を持ってやっているつもりです。

ー 編集業務で重視していることは?
絶対的な〆切を設けないこと。関係者にちゃんと対価をお支払いすること。
つまり良い作品づくりのために「邪魔になるストレス」をなくすことを心がけています。

ー 編集者として喜びを感じた瞬間は?
「人生が変わった」という感想はがきを読者からもらうとき。
また、著者から「ライツ社から出せてよかった」と言ってもらったとき。
前者は作り手としての喜びだと思いますが、後者は出版社としての責任を果たせたという喜びです。
誰だって、人生でそんなにたくさんの本を書けるわけではないし、一冊の本にかかるコストは膨大です。
その本がつまらないものになってしまったり、売れなかったら、とてつもなく申し訳なく思います。
だからこそ、「あなたと仕事できてよかった」と言ってもらえる仕事をしたいと思っています。

ー 思い入れ深い仕事は?
『リュウジ式悪魔のレシピ』(リュウジ)でしょうか。
2020年の「料理レシピ本大賞 in Japan」において大賞をいただいたのですが、明石という、地方にある小さな出版社から出た本が、「その年の日本一の料理レシピ本」という勲章をいただけたことは、いろんなことに大きな可能性を示せたできた出来事だったと思っています。

ー あなたにとって編集とは?
「大好きな人を自分の職能で応援できる」という、最高の仕事だと思います。

ー これから編集してみたいものは?
やっぱり小説をつくりたいです。100年残る物語を。狭き門ですが。

関西編集保安協会とは?

関西編集保安協会とは、関西という地域において、さまざまなメディア領域を横断し、編集業務に従事する団体や個人が交流・連帯することを目的にした運動体です。

メディアの産業構造が変化し、情報コミュニケーションにおけるデザインやテクノロジーの力が見直される一方で、その歯車となる編集については、その思考やノウハウを共有し、研鑽する場が少ないことを課題と感じています。

首都圏に集中するメディアの産業構造を疑い、関西というエリアにおいて編集人財の育成を図るとともに、編集業に従事する人・団体が安心して仕事ができるネットワークをつくることを目的としています。

関西編集保安協会Webサイト
https://khhk.info

関西編集保安協会Webサイト




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