シン・エヴァ感想 シンジを導いた『縁』の正体

シン・エヴァを2回観た。

当然ながら初回よりも2回目のほうが落ち着いて観ることができた。気がつくと第3村でのシンジの立直りで涙を流していた。

シン・エヴァに対する私の評価はポジティブなものだ。これは作品の出来というより、エヴァの特徴である視聴者とのシンクロ率が高いほどハマりこむという特性から、これまでの私の経験と劇中のドラマがマッチする部分が多々あったためとさせてもらいたい。(もちろん映画としても素晴らしかった)

劇中、様々な用語が登場した。

ゴルゴダオブジェクト、イスカリオテのマリア、マイナス宇宙、封印柱、オーバーラッピング・・・

完結編というのに、たくさんの新しい用語や設定がどんどん登場したが、個人的に最も印象深いのが『縁』というワードだ。

ケンスケ「しかし親子だ。縁は残る」
カヲル「縁が君を導くだろう」

個人的にはこのワードこそが、エヴァがすっきりと美しく終われた理由を説明する鍵だと思っている。そしてこの言葉がどこから来たものなのか、参照先を発見したので誰かに伝えたい。(そのためにnoteを始めてみた)

この言葉は宮崎駿のものだった。

庵野秀明の師でもある宮崎駿は、『風立ちぬ』で庵野秀明を主役声優に起用した。

この時の様子が、映画『夢と狂気の王国』(砂田麻美監督)に記録されている。

この映画は、『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』を製作中のスタジオジブリに密着して撮影されたドキュメンタリーだ。『万引き家族』等で知られる是枝裕和監督のもとで学んだ砂田麻美監督が、ジブリの美しさと狂気を鮮明に描いた傑作だ。

劇中、宮崎駿が庵野秀明について語るシーンがある。

あの時のままですよあいつは。
ほんとに庵野はそう。腹は出たけど
なんか不思議なものを感じますよ。
人間の縁みたいなもんです。縁とか運とかそういう類のものですよ。縁とか運とかって、そういう類のわけ分かんないもんでしょ?作ろうと思って作れるわけじゃないし。

第3村でシンジが立ち直るシーンは、庵野秀明監督が鬱状態の間のエピソードが元になっていると考えられる。

風立ちぬの公開は2013年、エヴァQの翌年だ。

庵野秀明監督は風立ちぬで癒しを得た部分も多分にあるだろう。それこそまさに『縁』の力だったに違いない。

実はエヴァQの時点で、『縁』という言葉はカヲルによって使われていた。

庵野秀明監督がこの映画を見たかはわからないが、二人の関係性を宮崎駿が同じ言葉で説明していたのだ。

シン・エヴァは、宮崎駿監督をはじめ、奥様である安野モヨコさん、スタジオカラーの皆さん、その他たくさんの方の『縁』により出来上がった、希望の作品だったのだと強く感じる。

素直に、うらやましい。こうありたいと思った。

私もこれから先、このような縁に出会い、繫ぎ留め、生きていきたい。

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