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【こんか漬けとお酒】日本酒の甘辛との相性

日本酒で甘口、辛口という表示を目にしたり、また味の説明で耳にすることがあると思います。今回は日本酒における甘口、辛口の話、プラスうちの商品である「こんか漬け」にはどの味の日本酒が合うのかという話をしてみたいと思います。

日本酒の甘辛を作り出す要素はいくつか挙げられますが、日本酒は米が麹菌の働きによって分解され糖になり、その糖が酵母の働きによって、アルコールと炭酸ガスなどに変わり、お酒は完成します。

甘辛でいうとここで大事な要素は「糖」になります。この「糖」ですが、酵母の働き具合により分量が左右されます。この酵母の働き具合を示す指標が日本酒度という価です。

日本酒度

日本酒度とは、日本酒の甘口辛口をみる目安の一つで、日本酒度計という計測機器で測定しています。

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この日本酒度計は、ある液体が水より重いかどうかを測るものです。日本酒度は同じ容量の水と比べて重いか軽いかというのを数値化したもので、水より重いほどマイナスになり、軽いほどプラスになります。つまりは糖は水より重く、アルコールは水より軽いので、

・糖が多くてアルコール少ない⇒水より重い=日本酒度マイナス…甘口
・アルコールが多くて糖が少ない⇒水より軽い=日本酒度プラス…辛口

ということになります。ただ、この指標はあくまでも糖の割合の話なので、お酒の甘辛にはまだいくつもの左右する要素があります。

酸度

日本酒には乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などが含まれています。酸度とは、これらの有機酸含有量の多少を示す指標です。日本酒に含まれる酸は、日本酒の味わいを引きしめる効果があるので、酸度が高いと酒は辛く、そして濃く感じられます。これは口当たりがキリッと締まるからです。

香り

吟醸酒や大吟醸酒などのフルーティーな香りの日本酒もまた甘さを感じられます。最初の口当たりや後味の印象がこの果実系の香りにより左右され、甘いと感じられます。

温度

日本酒は、冷やから常温、ぬる燗や熱燗と様々な温度帯で楽しめますが、この温度によっても甘辛の感じ方が変わっていきます。一概には言えませんが総じて日本酒は、冷たくなるほど甘味が感じにくくなりスッキリとします。また辛さの要素の一つである酸味は、温めることによりふくらみが出てまろやかな印象となり辛さを感じにくくなっていきます。

こんか漬けにはどのお酒?

魚のぬか漬けである「こんか漬け」は、魚の保存食として親しまれてきた背景があります。また1年以上発酵させ作られる伝統食ですので塩分濃度は高めです。参考までに、前の記事(【こんか漬けと日本酒】「常きげん 山廃仕込純米酒」)で紹介したこのお酒に合うこんか漬け・ふぐのぬか漬けの栄養成分表示はこのようになります。

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食塩相当量が100g当たり6g強と塩分が高めです。なので甘めのお酒…日本酒度がマイナスで且つ酸度も低めのものが合うのではないかと思われる方が多いのではと思います。

ただ、塩分だけでなく風味(いわし由来の魚醤・いしるが味のベースです)も濃く癖が強い食材ですので、甘いお酒が持つ味わいや果実系の香りが打ち消されてしまう印象があります。

寧ろ辛口のお酒…日本酒度がプラスで酸度が高めのものですと、こんか漬けの持つ強さや濃さが上手く中和され、まさに食中酒としての役割を果たしてくれる印象があります。辛め(若しくはやや辛口)のお酒も味わいや濃さなど含め種々ありますが、お酒とこんか漬けを組み合わせることで食材をより美味しく召し上がれるようになるものもあれば、またお酒の方を美味しく頂けるものもあるように思います。

勿論、甘めのお酒にも良い合わせ方があります。食中ではなく食後に頂くお酒としてお試しください。濃い味わいを言わば「洗い流す」ような働きがあると思います。このようなお酒も提案していけたらと思っています。


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