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40代半ばで「ベンチャー企業に時短社員で転職」&「中小企業で副業」してみて感じた6つのこと

2017年9月に転職して、気が付けば2年が経過しました。

大手企業中心のキャリアから、40半ばでWarisというベンチャー企業(女性比率9割!)に時短社員として転職しつつ、同時に中小企業(創業20年/地方に本社がある小さな会社)で副業も始めるって、今思えば当時の自分にしてはずいぶん思い切った選択をしたなあと思いますが、おかげさまで日々楽しくやってます。

この会社ブログを書いたのが約1年前。

その後、ここ1年くらいで急速に40代半ばからの早期退職にまつわるあれこれが話題になってきました。この展開には、正直、自分もびっくりしてるし、いろいろ思うこともあります。

それはともかく、こういう時代背景もあるのか、団塊ジュニア&人生再設計第一世代のおっさんの1サンプルとしてはそこそこおもしろいらしく、いろんな人から「その後どうなのよ?」と聞かれることも多かったので、自身の備忘録がてらにこれまでの気づきをメモにまとめました。


慣れるのには半年かかる。焦るな、おれ

幸い転職2回目だったせいか、前回(10年以上前だけど)の記憶がうっすら残っていて、最初から頑張りすぎないほうがいいという心の声に従いました。通常は1~3ヶ月くらいがいわゆるオンボーディング期間なんだろうし、即戦力を期待される年齢ゆえに、そのあたりはいろいろな迷いもあったんですけど、目先の成果や結果をだすことよりも、まずは周囲に溶け込んで、小さい信頼を得ることだけを意識して、半年間はできるだけのんびりやってました。

正直、焦ったり悶々としたこともあったし、「お前もっと働けや!」、「期待外れやわー!」と周囲に思われたこともあったかもしれないけれど、このくらい慎重な入り方をしたことが、個人的にはよかったと思います。

とくに役職のないヒラ社員として入ったことも、自分にとってはありがたくて、最初からCなんとかOとか、××責任者でなかったことは、環境に溶け込むためにはむしろプラスでした。(そんな条件でいい年のおっさんを採用してくれた会社にはいまさらながら感謝)

女性だらけの環境にどう対処した?という点については、前職の後輩女子達からの「マイ・インターンを見ろ!ロバートデニーロになれ!」というアドバイスが役に立ちました。アンハサウェイみたいな上司がいたわけではないし(笑)、ハンカチも持たなかったけど、映画のエッセンスは多少なりとも参考になりさせていただきました。

とはいえ、最終的には「慣れ」の要素が多く、時間が解決したことは多かったなと思います。

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ポータルブルスキルに気づく

人材業界の会社ということもあり、普段からいわゆる「キャリア」についての意識が非常に高い職場環境です。自分よりはるかに年下の同僚も含めて真剣にそういうことを考えていて、実際に様々なアクションを起こしている人もたくさんいます。

正直これまでの自分はあんまりそういうこと考えずに、まあなんとかなるだろう、と流れに任せてやってきた意識の低い昭和世代なんですが、自然と「キャリア」について考えることが多くなり、自分の専門性ってなんだろう?とか、この先どういう道で食べていくんだろう?とか考えることもいまさらながら増えきたわけです。遅せえよ、おれ。

いちおう、現在もWEBまわりのマーケティング担当だし、これまでの経験値的にもそこが専門なわけで、そこそこのことまでできる自信はあるんですけど、どうもそれが自分の専門領域というにはしっくりこなくて、「WEBマーケター」と名乗ることに対して、正直うしろめたさを感じていました。

そんな中でいろいろ仕事をやっていくうちに、自分の得意なことというか、周囲に喜ばれることがなんとなく見えてきて、これっていわゆるポータブルスキルじゃね?と転職後、1年経過したあたりから思いはじめました。

具体的にいうと

・その時々のチームやプロジェクトの状況を、客観的かつ俯瞰的に把握して、課題を整理できる
・なんとなくの方向性の示唆や提案ができる
・クリティカルな課題で誰もやらなそうなものは、割と広い範囲でハンズオンでやれる。ポジティブ器用貧乏!
・数字をまとめたり、いろんなフォーマットを整えるなどしてPDCAを回すプロセスをつくれる
・なんだかんだでプロジェクトやチームを前向きな雰囲気にできる(はず)

たぶんこれまでの中間管理職経験や、数々の謎プロジェクトで苦労した経験が生きてると思うんですけど、自分にとっての専門領域であるはずの「WEBマーケティング」よりも、なんとなくプロジェクトやチームをふんわりうまく回すことが意外と役に立つし、再現性もあるし、周囲からも褒められる&期待されるということに気づかされました。

おお、これがもしかして自分のポータブルスキルなのかも!

0→1ではなく、1→10でもいい

そういうポータブルスキル的な部分が少しづつ見えてきた中で、改めて思ったのは、自分は0→1タイプではなく、1→10タイプなんだなということ。若いころはゼロイチができる人が一番すごくて、できれば自分もそうありたいと思ったし、そうあらなければと意味不明に思っていました。

でも、現実はそんなにうまくいかなくて、30代中盤くらいからは正直ゼロイチは向いてないなー、とうっすら気づきつつも、それを周囲に期待される場面もあったりして、悩んだこともあった記憶があります。

いまだにその想いは多少あるのですが、、、誤解を恐れずにいえば、本業、副業ともにベンチャー/中小企業ということもあり、経営陣を中心にまあまあ無茶なことをいう人は多いし、0→1大好きなキャラもたくさんいます。そういう環境の中で、別に自分がゼロイチをいいださなくても、その人たちの妄想や暴走に乗っかって(というか巻き込まれて)、それを現実に落とし込んだり、非合理的な妄想を合理的にしていくプロセス、というは自分にとって結構居心地がいいということに気づいたわけです。

自分は、ゼロから自分の意志でやりたいことを見出してそこに突き進む(自分の中では0→1)までのパッションはない、かといって明確なビジネスの型があってそれを粛々とスケールさせたり、極力リスクを減らして効率を追求していくこと(自分の中では10→100)になると面白くねーなーと、思う中途半端なタイプ。

そういう自分にとっては、共感できるパッションをもってはいるものの、それを現実に落としこんでいく方法がよくわからん!という人と一緒に、まあまあ混沌とした中で仕事をする(自分の中では1→10)というのはそれなりに楽しめるし、こういうタイプがチームの中に1人くらいは存在してもいいんだ!と悟って気が楽になりました。

自分自身で無理やりパッションをもたなくてもよくて、その代わりに意識してパッションにあふれる、ちょっとおもしそうな(or変わった)人々のそばで仕事をするようにして、積極的に巻き込まれる機会を増やすことが大事。

ある意味で受け身なスタイルなんですけど、これって東大・馬田先生いうところの「 情熱は育むこともできる」ということなのかも!

大きめの企業にいるとわからなかったんですけど、意外と世の中の中小企業やベンチャー企業では、こういう1→10タイプもそれなりに重宝されるという発見があったし、とりあえず自分の得意にフォーカスして、目の前の仕事を楽しめばいいんだな、というマインドセットにもなりました。

とはいえ、こういうポジションは求人として表にでることは少ないようなので、そのあたりは課題ですが、これらのスキルをもっと具体化・言語化していくことが、もしかするとこの先の仕事の種なのかもと考えています。

まだ、うまく言語化できてないんですけど、イメージ的には「ゆるふわPMO」とか「文系スクラムマスター」とかかなあ。このへんはもう少し深掘りしたい。

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スキルとしてのリモートワーク

少し話題はそれますが、基本リモートワーク&スーパーフレックス制度(コアタイム1日2時間!)のある珍しい会社ということもあり、自宅を中心に週2~3日はリモートワークで働いています。おかげでマンションの掃除のおばちゃんや近所のスーパーのレジの午前番の人とすっかり顔見知りになりました。

通勤時間などがカットできる分、家のこともできるし、仕事の密度もあがって基本的にいいことだらけです。リモートワーク/テレワークについては、2020東京オリンピックもあり、巷でもいろいろそのメリットがいわれてるので、まあだいたいその通りだなと思うんでそこは割愛するとして、それ以上に感じたのが、「スキルとしてのリモートワーク」ということ。

前職でもリモートワークに対しては前向きに取り組んでいたんですけど、それはどちらかというと、管理職として組織を運営する上でのメリット・デメリットの面から考えることがほとんどで、実際に自分自身はそこまでリモートで働いていなかったんですね。

で、この2年間、労働時間の半分以上をリモートで働いてみて感じたのは、リモートワークは従業員向けの福利厚生ではないし、企業の人事/組織戦略だけのためでもなくて、個人がよりよい仕事をするために身につけなくてはならない、これからの時代の「スキル」のひとつなんだなということ。

・チャット、メール、電話、オンライン会議をどう使い分けてコミュニケーションを成立させるか?
・オンライン会議の画面越しでのクリティカルな議論と収束のさせ方
・(外部の方を含めて)初対面の人に対してオンライン会議でいい印象を与える方法
・リモートワーク前提での資料の作り方や議事録のあり方
・リモートワーク中心になった職場でのリアルの場での立ち振る舞い、チーム力を向上させるための方法

などなど。
おそらくこれからの時代、リモートワークをする機会は増えることがあっても減ることはないと思うし、その中で会社や組織どうこうではなく個人として「リモートワークのスキル」を持っていることというのはわりと大事になると思います。

こういうスキルがあることで、いろんな場所にいる(優秀な)人と一緒に仕事ができる機会が増えるわけだし、リモートワーク中心の企業が増えていくと、そのうち人材募集要件に「リモートワークのスキル」と当たり前にかかれる日もくるのかもしれません。

このことは意外な副産物でした。

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それはそうと、副業はどんな感じよ?

巷では2018年が「副業元年」といわれていて、メディアでも大きく取り扱われたし、いろんな副業サービスもでてきたタイミングでした。意図せずその直前に副業デビューした自分は我ながらミーハーだなあ、と思ったわけですが、とりあえず流行りのものをひととおり経験して、メリットデメリットをざっくり把握できたのはよかったです。

ちょっと前のインタビュー記事ですが、大きく印象は変ってません。

最初は本業の仕事にも多少戸惑っていたこともあり、やりくりにまじ苦労していたんですけど、「1社の中で複数プロジェクトをかけもちしてる」というように考え始めてからは、本業/副業の境目はあまり意識せずに、自然に回せるようになったと思います。

いまの会社では、自分の事業をやりながら副業として業務委託契約で働いている人や、自分と同様に正社員で働きつつも、副業で別の組織にコミットしている人も複数いることもあり、副業は特に珍しいことでもないし、やりたければやればいいけど、無理してまでやるもんでもないなー、という感覚になってます。

結局のところ、正社員かフリーランスか、本業か副業かはどうでもよくて、その場で一緒に仕事をすることを楽しめる相手なのか?、そいつは信頼できる人かどうか?、そして相手からみて自分はそういう存在であるのか?ということが重要なんだという、ごくごく当たり前のことを感じています。

ちなみにこれらの本業や副業以外にもボランティアベースで母校や出身クラブのOBOG会などの活動に少しづつ関わりを増やしています。実際にはほぼなりゆきとしがらみの延長なんですけど、こういう活動も、あえて「副業」のひとつとして捉え直してみると、単なるしがらみの延長ではなく、時間のやりくりも含めて改めて学ぶことも多いし、本業で身につけたスキルの横展開もたくさんできます。

「副業」やってみたい!という考える人は若い世代を中心に増えているようですが、最初からハードルを上げすぎずに、こういう地味?なところをあえて「副業」と言い切ってやってみると、なんとなくテンション上がるし、ローリスク・ミドルリターン(お金は稼げないけど、経験と人脈はできる)になるのではないかと思います。きっとPTAとか地元の消防団に入るのも同じなんだろうなー。

経歴の逆ロンダリング?ベンチャー&中小企業で働いた経験

本題に戻します。
そんなこんなでこの2年で感じた最も大きなことは、大きな企業で実績を積むこと(→その結果として昇進や出世すること)だけではなくて、小さな企業やベンチャーで働いた経験を持つことが50代以降のキャリアの広がりをつくるんだなということ。

ある程度の年齢になったときに、(自営業や職人系ではない)多くのサラリーマンは、一部のスペシャルな人を除いて、どこかで一度は会社の規模や肩書を大きく落とさざるを得ないタイミングがきます。そこでどう対処するかは、実は新卒でどこの会社に入るかと同じくらい重要なことで、定年がどんどん先になってるこの時代に、その先のキャリアを左右する大きな問題です。

「大企業の"偉い人"」で居続けることは、年齢とともにどんどんハードルは上がってくるけど、「中小企業やベンチャーの"現場"で働くこと」というのは、日本の産業構造的にある意味でとても現実的なんだよなあ。(もちろん、自身で起業したりすることもありだと思いますけど、いまのとこあまり興味がわかない。。。)

一方で中小企業やベンチャー企業の立場からしてみれば「大企業における管理職中心のキャリア」というのは、ポジティブな面がある一方で、一抹の不安を覚えることが多いはずです。具体的に言うと、「すごい経歴らしいけど、口だけのめんどいおっさんだったら困るわー」ということ。

そのあたりを考えた時に、40代でベンチャーや中小企業で一定期間働いた経験というのは、(いまのところ、その気は全くないですけど)次の仕事を探すとき結構大きいなーと思ったわけです。ある意味で経歴の逆ロンダリングができたとでもいうのかな。別に企業の大きさに上も下もないんだけど、いろんな規模の会社で働いたことがある履歴書、というのは自分にとっては、これからのキャリアの大きなプラスになると感じました。

このあたり、若い世代から見ると意味不明な部分も多いと思うんですが、終身雇用が当たり前の時代にずっと普通のサラリーマンとしてやってきた自分からみれば、それなりに大きな出来事でした。

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ざっくりまとめます

長くなってきたので一旦まとめます。

・転職したら、焦らず半年くらいは時間をかけるべし
・立場や環境を変えることでポータブルスキルに気づく
・1→10がしっくりくる自分
・スキルとしてのリモートワーク
・流行りの副業をやってみて、当たり前ことに気づく
・長く働くためにはそれまでと違う環境で働くことも大事だなあ

これ以外にも「お金のこと」、「健康のこと(在宅多いと太る問題)」、「仕事と家庭のバランス」、など、感じたことや学んだことはあるんですが、、、そのへんはおってまとめていこうかと。

結論としては、2年前にキャリアを変えるときに考えていた「家族揃って朝晩のご飯が食べたい」というシンプルな願望をほぼ100%実現できているのでとても満足してるし、その上で二年間楽しくやれてよかったです。

これからもマイペースで楽しく働きつつ、人生再設計第一世代の1サンプルとして、普通のおっさんが生きやすい世の中になることに少しでも貢献できればと思ってます。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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