緑の海、日本の夏
はじめに
今回は、日本海に沿うように、舞鶴線と小浜線を乗り通してきたという話。
今年も青春18きっぷを購入し、まずは乗りつぶしをしたいと思い、この区間を選んだ。
嵯峨野山陰線
旅の始まりは京都駅。まずは綾部駅を目指す。6時37分の嵯峨野線普通電車で園部駅まで乗車し、接続の福知山行き普通列車に乗り換えて綾部駅を目指す。園部駅からは「ワンマン・単線・山々」とローカル線三拍子が出揃い、これまでと様相がガラッと変わって、いよいよ「山陰線」らしくなる。途中、列車の行違いをしながら京都府を北西を進んでいき、綾部駅には8時25分に到着した。
未踏区間
舞鶴線
ここからは約110km先の敦賀駅まで、未踏の区間が始まる。まずは舞鶴線に乗車する。
ホームには223系が停まっていた。113系を期待していたが、運用は運なので仕方ない(運だけに)。
しばらく乗車すると、西舞鶴駅に到着する手前に、京都丹後鉄道の車両基地が見えてくる。
そこでは、「タンゴエクスプローラー」で知られるKTR001形が留置されていた。塗装は剥がれて赤錆も露出し、隣の現役の列車と比べると待遇は雲泥の差ではあるが、それでもまだ残されているのが興味深い。
舞鶴線はそれほど長くない路線のため、乗車時間30分ほどで、終点の東舞鶴駅に到着した。
赤れんが
ここからは「舞鶴赤れんがパーク」を目指して歩く。9時過ぎということもあり、人はまばらで商店街も静か。
徒歩15分ほどで赤れんがパークに到着する。そう遠くはないとはいえ、酷暑の中歩くのは大変だ。
ここでの目当ては「赤れんが博物館」。れんがや舞鶴の歴史などが展示されている。
ここは、この建物自体も歴史的価値があり、それも見どころである。元々は旧海軍の魚雷の倉庫として使われていたこの建物は、今でも鉄骨(?)などで「古さ」を感じることができる。
そして、特別展も興味深いものだった。ベルリンの壁や板東俘虜収容所など歴史的遺産を、そこのレンガとともに知ることができる。
入館料は学生なら150円と安価ながら、見応えは十分にあった。
博物館を出ると、先に見える港には艦船が停泊していた。
廃線跡を辿る
時間もあまりないので、最短ルートで東舞鶴駅に戻る。
暑すぎてコンビニで買ったアイスを片手に歩いていると、道中に駅名標が設置されているのを発見する。
そう、これは廃線跡である。
ここに敷かれていた「中舞鶴線」は、戦前は軍事的需要を満たし、戦後も造船所への貨物輸送を行っていた。
しかし、1972年に廃線となったらしい。この道はその名残りというわけだ。
さらに進み、登録有形文化財でもある「北吸トンネル」を通り、東舞鶴駅を目指す。
そして病院、ケーズデンキを通り、東舞鶴駅に戻る。
短い間ではあったが、なかなか濃い時間だった。
小浜線
さて、ここからは小浜線に乗車して、東へ進む。
時刻は11時過ぎ。125系を2両繋いだ2両編成で運行されている。本数はそう多くないためか、乗車率はまあまあ高め。地元の高校生の乗降も多い。
日本海側に沿って走るこの路線は、途中、車窓から若狭湾が見える区間がある。例えば、若狭本郷―加斗間は、制限速度25km/hの区間で速度を落としてくれるので、青々とした若狭湾をよく見ることができる。
そして小浜駅も通り過ぎ、列車に揺られること約80分、三方駅で下車する。
三方
時刻は12時台。駅に併設されているコミュニティカフェで昼食をとる。
この日の定食は肉じゃがだった。肉じゃがといば、舞鶴は肉じゃがの発祥地であると先ほど知り、ちょうど食べたくなっていた。タイミングがよい。
食後はコーヒーを啜り、地方紙『県民福井』を読んで一服する。いい時間である。
一休みしたのち、ここから「年縞博物館」に向かう。そのために、レンタサイクルを借りる。それもこのコミュニティカフェで借りることができる。料金は、4時間までなら500円。この炎天下を歩くことは大変だからこそ、借りない手はない。
知らない土地を自転車で走る。
そこには一面に緑が広がる。それはまるで海のようだ。
自転車で若狭湾の方へ15分ほど漕ぐと「年縞博物館」に到着する。
年縞とは堆積物でできた層のこと。それを調べることで、過去の環境を知ることができる。そして水月湖のそれは世界一の長さで、7万年分の年縞が45mにわたって展示されている。
年縞は、それだけ見ても何を意味するのか全く分からない。そこで、その解説を読む。すると、この縞から何が分かったのかを知ることができる。
思ったより時間をかけて見ていたようで、気づけばいい感じの時間。そこで、予定していた列車には乗らず、一つ後の列車に乗ることにした。
帰りは湖に寄り道してから帰ることにした。博物館で水月湖の年縞にふれることで、興味が出てきたからだ。乗る列車を一本後に遅らせたことで時間に余裕ができたので、自転車を少し走らせることした。
しばらく自転車を走らせると、「三方湖」の展望台に到着する。この地域には「三方五湖」と言われるように5つの湖があり、ここはその一つである。
三方の豊かな自然を堪能したのち駅に戻り、敦賀行きの電車に乗車する。
そして約30分後、列車は敦賀駅に到着し、今回の目的である未踏区間の乗りつぶしが達成される。
敦賀
敦賀駅では北陸新幹線の新駅を望むことができる。延伸は来年度末を予定しているが、すでに大まかには形になっているようだ。
この後は、本来は長浜まで行き、そこで地ビールを堪能しようかと考えていた。しかし、明日アルバイトがあり、また十分に楽しんだので、今回はここで切り上げることにした。長浜は、また改めて訪れることにしよう。
その代わりに(?)、敦賀名物らしい「かたパン」を、自分用の土産として買った。
帰路
敦賀駅からは、近江舞子行きの普通列車に乗車する。521系の2両で、乗客はあまりいない。
列車は南下し、長いトンネルを通って滋賀県に入り、近江塩津で湖西線に入る。
そして、しばらくすると、また緑の海が広がる。
気づけば時刻は17時。日は傾き始めて、列車の影が映し出される。
時刻は17時35分、終点の近江今津駅に到着する。
そして、ここからは221系に乗車して、各駅停車でのんびり京都駅に帰った。
おわりに
舞鶴と三方、いずれも見どころがあり、楽しむことができた。
また、乗りつぶしと観光をバランスがとれた、濃い小旅行をすることができた。
今回の行程
0619 稲荷
↓ JR奈良線・京都行
0624 京都
0637 〃
↓ JR嵯峨野線・園部行
0721 園部
0726 〃
↓ JR山陰本線・福知山行
0825 綾部
0851 〃
↓ JR舞鶴線・東舞鶴行
0920 東舞鶴
1106 東舞鶴
↓ JR小浜線・敦賀行
1229 三方
1603 三方
↓ JR小浜線・敦賀行
1634 敦賀
1659 敦賀
↓ JR北陸本線・近江今津行
1735 近江今津
1742 〃
↓ JR湖西線・京都行
1847 京都