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ラジオのこちら側で


私はラジオが大好きで少し前まで毎週のように深夜ラジオを聴いていた。
今でもポッドキャストでいろいろなラジオを聴いている。
ただ、私は本書の著者であるピーター・バラカン氏のようなDJがパーソナリティーを務める音楽主体の番組ではなく、芸人がパーソナリティーを務めるトーク主体の番組ばかりを聴いてきた。
音楽主体の番組については移動中の車の中で流れたら聴く程度で、自ら進んで聴く習慣はなかった。
そんな私が本書を購入した理由は、本書の帯に書かれていた「文章が知識だとするとラジオは情熱。」という言葉に強く惹かれたからである。
実際に本書の中には、氏のラジオと音楽に対する情熱が随所に散りばめられている。
中でも印象的なのは、ラジオで流す曲の選曲に関する氏のこだわりである。

ほとんどのラジオ番組は、しゃべり手が音楽を選んでいません。音楽の紹介がレコード会社のプレス・リリースそのままのこともあります。レコード会社が局に送ってくるプロモーションの音源の資料には、よく「一押しの曲」が示してあります。かつてならシングルカットされるような曲です。その曲をかけることもありますが、ぼくはあくまでも自分で選曲してかけています。
だいたい一週間分の選曲リストを、順番も含めて放送数日前から、いつもあたためていますが、入れ替えや差し替えも毎日しています。何年も番組のプレイリストを作っていると、それぞれの回に一つの流れがある選曲ができるようになりますが、せっかくのリスナーのリクエストを一曲挟もうとして流れがくずれ、一から練り直しということも多々あります。
リクエストを挟むときも、ただ曲をかけるだけでいい場合と、少し説明した方がいい場合があり、また「しゃべる長さ」と「しゃべりを入れる場所」のやりくりは、時々面倒です。置く位置によっては全体の流れをおかしくしかねない曲もあるし、 並べ方次第で後味が悪い流れになったりもするのです。聴いている人がどこまで感じているのかはわかりませんが、ぼくはこういうことにこだわります。


職人気質のこだわりを心から格好いいと思う。

本書は著者であるピーター・バラカン氏が日本に来てから現在に至るまでの自分の経験について時系列で書いたものである。
日本の会社で働き始めた当初は言葉の壁と日本の企業風土に苦しめられたバラカン氏が、少しずつ壁を乗り越えて自分の可能性を広げていく過程は、新人サラリーマンである自分にとってとても興味深かった。
自分が今後働いてく上で、バラカン氏のラジオと音楽に対する情熱に少しでもあやかれたらと思う。

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