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東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)にパートナー企業として参加してます

さくらインターネット、UXデザイングループの@kgsiです。

東京工業大学ではデザイン思考を活用し、企業と大学院生、社会人がイノベーション創出に取り組むエンジニアリングデザインプロジェクト(以下EDPと略)を毎年実施しています。

さくらインターネットでは、昨年からパートナー企業としてこのプロジェクトに参加していますが、今年パートナー企業のメンターとして参加する機会を頂きました。
この記事ではEDPの簡単な説明と自身の参加背景、パートナー企業として得られる経験を主に紹介します。

エンジニアリングデザインプロジェクト(EDP)とは

公式サイトには、以下のように書かれています。

チームで課題を発見し、解決手法をエンジニアリングの手法を用いてプロトタイプで提案する授業です.
抜粋: エンジニアリングデザインプロジェクトの目指すもの

もう少し詳しく説明をすると、東工大生はもちろん、他校から参加した美大生や、留学生、企業から参加した社会人など...多様性のあるチームが「デザイン思考」を活用して「コト・モノづくり」することを目指す授業(プロジェクト)です。こちらも引用となりますが、EDPの狙いは以下のとおりです。

コト・モノづくり
・可能性のあるソリューションを考案し、タンジブルなプロトタイプを実装、提案します。
・タンジブルなプロトタイプとは、エンジニアリングを活用した「モノ」を想定しています。つまり、実現不可能なモノ、アイデアだけ、サービスだけ、ソフトウェアだけで実装されたものなどは、すべて本講義の対象外となります。

デザイン思考
デザイン思考を活用して現実社会のテーマに取り組み、潜在ニーズを発見します。

多様なチーム

専門性の異なる多様なメンバーがチームとなり、それぞれの視点や技能を活かします。

学生主体の授業は4月から始まっていますが、企業パートナーとして一緒に授業に参加するのは9月からです。授業は隔週の土曜日(授業のない日はインタビューやプロトタイプ開発を自主的に行っています)、最終発表の2月までおおよそ1年かけて行われます。

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パートナー企業が提供するもの・考えること

パートナー企業として、このプロジェクトに求められることは以下になります。

1. テーマの提供
2. テーマ設定背景の説明(初回授業時):簡易プレゼン、分質疑応答
3. プロジェクトチームへのメンタリング
4. ユーザーリサーチ・テスト対象等の紹介
5. EDPの活動や最終発表会後に関する広報
6. その他(必要に応じたスケジューリング、ユーザーテストの場所提供)

その中で設定が難しかったテーマ提供について抜粋して紹介します。テーマに求められるものは以下のとおりです。

・「□□における○○の体験をデザインせよ」のフォーマットを推奨します。
・各チームが問題を再定義し、ユーザーを特定し、インサイトが得られる可能性がある(抽象的すぎず、具体的すぎでもない適切な)解像度が求められます。
・ソリューションとして、エンジニアリングを活用した「モノ」が構築できるテーマであることが求められます。
・問題の「再定義」が発生することから、当初テーマが想定した課題とは異なる成果物にたどりつく可能性があります。後述するメンタリングによって、ある程度は軌道を修正することが可能です。

学生の自由を損なわせない抽象的すぎず、具体的すぎないサイズの課題、というのはかなり難しいものでした。
昨今問題となっている災害や暮らしなど、社会的な課題スケールが大きい課題はそもそも何をもって解決かを定義しにくいし、学生も迷ってしまいます。一方で絞りすぎると学生の自由な発想を奪いかねず...。更にさくらインターネットが抱えている問題と、サービスが絡められれば尚良い...という条件が混じるとより難しくなります。

社内で1ヶ月以上議論を重ねて、先生に相談…ダメ出しを受けてからの相談、その結果ようやくテーマを決めることができました。

さくらインターネットが提供した今年度のテーマは、「フルタイムで働く親が子どものためにできる食育をデザインせよ」となりました現在チームipi、チームいわしの2チームが課題に取り組んでいます。

課題を取り組んでもらい、その後は高みの見物...とはいきません。この授業で企業側に求められるのは「クライアント」としての役割ではなく、チームの共同体となる「パートナー」としてプロジェクトに関わることです。

学生の自由な発想と自主的に活動を阻害しない前提で、アドバイスを行い、当事者意識を持ってプロジェクトに参加することが求められます。これは普通に参加するよりも難しく、勉強になります。


自分がEDPに参加した背景

今回自分がEDPに参加した背景として、個人としての開発経験はそこそこあるのですが、チームとして一つのプロダクト開発する知見と経験に浅い、という弱点を持っていたからです。

こういった素晴らしい取り組みを行っていることを知らなかったぐらいに、アンテナレベルが低かったのですが、すでに経験されてる方からEDPの有意義さと面白さを教えてもらい、より良いチーム開発とは何か?を学ぶために参加しました。


パートナー企業参加を通して得られること

上記の背景を動機に、参加してすでに3ヶ月経ちますが、当初の想像以上に濃い経験をさせてもらっています。ここでは主だった2つを紹介します。

1.思考プロセスやチームの様子を俯瞰して見れる
企業としてこのプロジェクトに参加することの大きなメリットとしては、デザイン思考によるプロダクト開発の流れ、チームの動きを俯瞰して見れることです。

EDPは東工大生の他、社会人や美大生などが入り混じりチームが構成されます。社会人経験を持つ人、持たない人、スケッチの素養がある人、コードが書ける人...など様々な背景を持っています。

デザイン思考やフレームワークを駆使してアイデアをカタチにしていきますが、声の大きい人に意見が合意なく採択されてしまったり、目標が一致せず意見に相違が生まれてしまったり...チームで行うことによって生まれる課題や問題を乗り越えて、いかにアイデアをカタチにしていくのか...学生たちは学んでいきます。

この取り組みをサポートしつつ、その様子を間近で見ることができるのは、特に社会人にとっては貴重な機会です。

2. 先生方の講義、レビューを聴ける
斎藤先生や角先生...他、このプロジェクトに参加される先生方は、どの方々も界隈の第一線で活躍されている方々であり、強強です。
そんな方々が教えられる講義やレビュー、コメントを聞くことができます。学生にはもちろん、メンターとして参加している我々にとっても中々体験できないことです。

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EDPの流れや詳しい内容は、プロジェクト公式で出版されている本に書かれています。興味がある方は読んでみてください。
また、パートナー企業として参加することも可能です。参加を希望される場合はこちらを確認してみてください。

今年のEDPの最終発表は2/8(土)を予定しています。この記事や上記の本をみて興味を持った方、足を運ばれてはどうでしょうか。(場所が正式に決定次第この記事もアップデートします)

今回は主にパートナー企業の参加者目線で紹介しましたが、このプロジェクトはあくまで学生主体です。学生は今も真剣にそれぞれの課題に取り組んでいます。どのチームも大変かとは思いますが、送れる言葉はただひとつ...頑張ってください!!応援してます!


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