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身体のとらえ方の歴史

医学や文化、文明の発達、発展に伴い、身体のとらえ方や向き合い方は変化してきました。古代から現代まで、それはさまざまです。

【古代】

古代のエジプト、メソポタミア文明では、病気は、悪霊やすでに亡くなった方々の邪気や呪いによっておきると考えられていたようです。そのため、神々への祈りが中心となりました。宗教、魔術、医療は一体で、シャーマンや呪術師などもいました。実際の治療は、手当てのほか、薬草、薬石、各種オイルなどを使用する薬物療法が用いられていました。

【紀元前】

中国、インド、ギリシャなどで医学が誕生しました。健康な身体は、心の安定やバランスの良い食事が大切とされ、バランスが崩れると病気や不調になると考えられました。東洋医学の中でも古代中国の陰陽五行説はここから始まりました。漢方や鍼灸の礎となっている考え方で、今も脈々と受け継がれています。目に見えたり、身体で感じる症状だけをとらえるのではなく、人そのものを深く観察し、バランスを整えて健康な心と身体を取り戻す治療が行われています。

【7~9世紀】

古い時代、神殿や修道院に負傷者や病人を集めてから治療を行っていました。7~9世紀ごろから治療を行うための病院という施設ができ始めました。医療の学問が確立されはじめ、医学を学び修得するための学校もでき始めました。

【ルネサンス期】

14~17世紀では、解剖学の研究が進んでいきました。ヴェサリウスが著したファブリカ(人体構造論)が出たことにより、人体の構造に人々の興味が集まるようになりました。骨格、筋肉、内臓、脳、消化器などが詳細に描かれるようになった頃です。この頃は、裸体が芸術表現として人々の関心を集めるようになりました。芸術家たちによる彫刻や絵画が生み出されていきました。また、顕微鏡が発明され、医学の発展に多大な貢献をしました。少し後には、望遠鏡も発明されています。

【18~19世紀の頃】

科学のすばらしい発展により、医学が飛躍的に進歩しました。麻酔、ワクチン、X線の発明などにより、それまで、手の施しようがなかった、ペストや天然痘などの治療法が見つかりました。細菌の発見により、それまでの常識であった、病気の原因は悪い水や空気という瘴気説(しょうきせつ)が影を潜めていきました。

【20~21世紀】

現代は、心の健康をケアしていく精神医学が発展しています。先進国では寿命が伸び続けていますが、飽食により肥満や生活習慣病などが問題となっています。健康寿命への取り組みが推進されています。また、病気の手術後に変形した身体を元通りに形作る形成医療も進んでいきました。加齢や見た目などのコンプレックスを克服するための美容医療も一般的に行われるようになりました。




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