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私が選ぶアイマス楽曲2022

アイドルマスターの楽曲についてより理解を深めるため、2022年につきましても、その年にリリースされた楽曲について振り返りをするという企画を行いました。
2021年版はこちら

その記事について、昨年(いや、もう一昨年)書き溜めていたものはあるものの、投稿を忘れてしまっていたので、大遅刻ながら改めて投稿したいと思います。

ランキングは5位~1位のカウントダウンと特別賞を含めた6曲となりました。以下の通り、よろしくお願いします。


マイベストアイマスソング5曲


5位ー『Reflective illumination night』

歌:渋谷凜(CV.福原綾香)
作詞:baker 作曲・編曲:篠崎あやと

寸評

ピアノの甘い伴奏から始まるオシャレなバラードと見せつつ、これまでの渋谷凛がダイナミズムに表現されたトンデモ曲。
福原綾香さんは自身のブログで「肩の力が抜けたオシャレな曲」、「凜の柔らかな表現や表情をしかと見せるぜ」とこの曲を評していたその言葉通り、凜の前のソロ2曲と比して熱量や勢いは抑えめに、その分気負いはしない等身大の今の渋谷凛が表現されていると思います。

奇しくもCM001の『Never Say Never』の丁度10年後に発売されたこの楽曲ですが、「あの場所へ走り出そう」と言っていた凜が、今は光降り注ぐ星満ちる場所(アイドルのステージ)に辿りついているんだという貫禄すらこのスローペースで優しげな歌声からは感じられることができました。
そういう意味では星降る情景が『さよならアンドロメダ』のようにしっとりとした情感に包まれて聞ける曲かもしれません。

私はこの曲を初めて聞いたとき、このイルミネーションという曲名とともに、デレステの初めてのSSR[ステージオブマジック]渋谷凛の情景を思い出しました。

この渋谷の喧騒を少し離れたところから見ている凛を思い浮かべながら聞くとキく。

言うまでもなく、このカードは凜にとってのはじまりであるとともに、アニマスの劇場版『輝きの向こう側へ』のEDでこの渋谷のパブリックビューイングに映るASのライブを目にした凜がアイドルに興味を持ち始めるというきっかけになった場所でもあります。

「奇跡のようにこの想い 夜空の彼方へ連なっていく」という歌詞は、あの日の渋谷で光っていたライブの輝きやパフォーマンスに感銘を受けた凜が、またアイドルとして光になり影響を与えていく存在になるという、ストーリーとして続いていき、そして「アイドルマスター」というコンテンツそのものが受け継がれる思いが連綿と続いていく限り、終わらない大河のような存在なのかもしれないとしみじみ考えてしまう楽曲でした。

4位ー『Take a StuMp!』

歌:315 ALLSTARS
作詞:松井洋平、作曲:志村真白、編曲:光増ハジメ

寸評


普段所謂「全体曲」とされる曲は、それほど深く刺さらなかったりするのですが、これはあまりにも良すぎてあげずにはいられませんでした。

よくSideMの『団結』曲と評されますが、それがこれほど疾走感のある小気味よさとユニットコールが気持ち良い曲になるのは、流石のMならではが持つパワーの証左でしょうか?

自分が言うまでもなく散々語られているところではありますが、これが自グループの主張をぶつけ合うのでなく、他己紹介楽曲として成立しているこの曲は、ユニット単位の活動が主になりがちな315プロが、互いを認めあって切磋琢磨している様子が感じ取れて好き好きです。

DSで涼が出たときも、2でJupiterが出たときも、モバエムがリリースされたときも、その後も決して順風満帆とはいかなかったこと多くあったとは想いますが、「終わってしまったと思うならここにいないだろう」と言葉にしてしまえる胆力と、それまでの実際に通ってきた道のりを思うと、やはりそれを形にする松井洋平の恐ろしさと、並大抵ではない不屈の精神が315プロの彼らを今アイドルたらしめているのと思うのでした。

諦めずにやり続けていたらなんだかんだなんでも夢を叶えてきているアイドルマスターを知っているので、ここからさらに挑戦者として最前線に立ち続けると宣言するこの曲を出せる心意気自体に深く感じ入ってしまいました。

「もふ・もふ・えん!」一刻も早く声に出して読みたいコール。

3位-『週末だけのハーレクイン』

歌:百瀬莉緒(山口立花子)
作詞:唐沢美帆 作曲・編曲:板垣祐介

寸評


百瀬莉緒版の『花ざかりWeekend✿』が来た!!

ムーディーなAメロから始まってしっとりした曲が来ると思わせて、Bメロのフレーズの畳み掛けでどうやら様子がおかしいぞ?と。そこから止まらず一気に、飲んで遊んでフィーバーしての無敵のサビが、まさに週末のストレスからの開放感に似た快感があります。

なのに、グラスの描写等のところどころから透けて見えるオシャレな心理描写がたまらない唐沢節。
見た目はアダルティーに振る舞うものの、中身は無邪気で可愛い百瀬莉緒をそのまま体現したかのこの曲が楽しくないわけがない!
「不景気なんて なんのその 今宵 経済まわしましょう」。
なんていい日本語なんでしょう。

社会人のストレス社会を悲喜交交交えて歌ってみるものの、上手い付き合い方なんてどうでもいい!
楽しく生きるために生きるんだ!とハレの瞬間のために前向きに猛進するその姿が、自分のような社会人の生き方にはとにかく勇気づけられる歌唱となっており、まさに救われるような一曲でした。

2位-『相合学舎 (福丸小糸 Ver.)』

歌:福丸小糸 (CV.田嶌紗蘭)
作詞:古谷真 作曲:藤井健太郎(HANO)

寸評

2022年、これば~~~~~~っかり聞いています。

皆さん、福丸小糸の
「はりきり!!」、「えびばでぃ!!」、「いろはにHo!!」
聞きました?聞きましたか。
では私からは以上です。

正直なところ福丸小糸さんって、雛菜がないところで高校生活大丈夫なんですか?と普段のコミュを読んでいると思ってしまうのですが、
この曲というか、アイドル活動を通して、「真っ暗で枕投げ」を許容できる小糸さんになっていたらいいな。。。

とにかく言葉の歯切れとライムが良すぎて、恐るべしとなっている曲です。
特にサビの抜けるような開放感は、放クラのわちゃわちゃにもノクチルの青春の疾走感も併せ含んだもので、
初披露となった4thのセンターステージで入れ替わり立ち替わりのフォーメーションダンスは、ユニット混合ならではの学生時代の文化祭のような賑やかさが眼前で繰り広げられて、ただただ楽しさに回帰してしまいました。

「最終日の 消灯時間で まあみんな寝ちゃってますか
 起きてるよ 夜風にね 当たって話そうか」の樋口が何とも言えない情感がこもっていたり、『Secret utopIA』の桑山の英語が流暢すぎて笑っちゃったり、ソロはとにかく発見が多くて楽しいですね。

特別賞ー『ピンキージョーンズ』

歌:北条加蓮(CV:渕上舞)、五十嵐響子(CV:種崎敦美)、高森藍子(CV:金子有希)
作詞:村野直球 作曲・編曲:NARASAKI

寸評

2022年一番聴いたアイマス楽曲は発表してしまいましたが、一番心に残った楽曲は間違いなくこれです。。。

皆さんはトリクロマティック・ナチュレというユニットを知っていますか?
私の担当アイドルであるところの五十嵐響子と北条加蓮、高森藍子が所属する3人ユニットです。

一見して分かる通り、アイドルをやるのに強欲な素質を兼ね揃えた火力特化の暴力的なユニットなわけですが、この3人のアイドルは、日高舞、ケイサル、バルバトスというバンナムのラスボス共をコラボでなぎ倒していった凶悪な集まりでもあります。

ニュージェネやユモレスク・ユニティと違い、初登場からしばらくユニットとしての楽曲活動がなかったわけで、自分も毎度のようにアンケートにその活躍が増える希望を投稿していたり、ドリームユニット決定戦でランクインしていたり、なんとなく期待感ばかりが膨れ上がっていったユニットではありますが、満を持して歌唱されるのがももクロ!?!?!?

しかもピンキージョーンズのカバー!?!?!?!?!?!?

CW曲であるココ☆ナツでも狂気していただろうに、ピンキージョーンズを歌っていいんですか?
なんか全国CMで佐々木彩夏が五十嵐響子をプロデュースしてるし。。。どういう世界線???
実際に正座をした上で心して聴くこと、、、あまりにも楽曲の力に負けない風格が備わっていてひっくり返ってしまった。

担当という色眼鏡全開で見たとき、雨も嵐もなんのその、アイドル戦国時代を勝ち抜き、その先へと探究していくのに有り余るほどのパワーを備えたその歌声は何?????

この最強ユニットが歌うと、天下を取りに行くという不遜に聞こえるまでのサビをこんなに楽しく歌い上げてしまっていて、歌詞にひとつのためらいも違和感もない、あまりにもこの3人の特性にピッタリとハマった組み合わせがこの世にあったんだ、と気付かされてしまいました。

尽くせりなことに、メンバーの名前が散りばめられたCメロは、トリクロの3人仕様に書き換えられていて、また感動。

「夢を目指すシンデレラ 今日ここから!」

と宣言できるのはこの世に五十嵐響子しかいないんだよな・・・。
ありがとう、アイドルマスター・・・。

(「お口ア~ン」の音源だけ抜き出したい。)

1位-『KAWAIIウォーズ』 

歌:天海春香(CV:中村繪里子)、水瀬伊織(CV:釘宮理恵)、菊地真(CV:平田宏美)、我那覇響(CV:沼倉愛美)、安部菜々(CV:三宅麻理恵)、双葉杏(CV:五十嵐裕美)、春日未来(CV:山崎はるか)、大崎甘奈(CV:黒木ほの香)、大崎甜花(CV:前川涼子)、奥空心白(CV:田中あいみ)、詩花(CV:高橋李依)、田中琴葉(CV:種田梨沙)
作詞・作曲・編曲:ササキトモコ

寸評

どう考えてもこの楽曲のおかしさは狂っている。
だってササキトモコだもん。とびきり甘いカフェラテの表層を飲んだら、中身はとんでもない深煎りの無糖ブラックコーヒーを飲まされたときの顔になりました。

このセカイの恐ろしさは「シカバネ越え めざす場所は もちろん最前線」のワンフレーズ聞けばもうわかりますよね?
アイドルをドール(ホビー)として扱ってしまいながら、こんなにポップでカワイイ楽曲を作り上げているのは流石のササキトモコです。御見逸れいたしました。

その歌詞をよくよく読んでいくと、同氏の前作品にあたる『きゅんパイア』や『アタポン』のような非人間の世界を書いた両作品以上に、残酷な消費構造が描かれていることがわかってしまいます。
展示されるコレクション棚はアイドルのステージに見立てられ、持ち主のお気に入りのドール(アイドル)はカワイイコーデをされて、好きなポーズを取らされてセンターに立つことができる。
でも選ばれなかった、飽きられたドールはシカバネになり、箱の中に押しやられてしまう。

この描写はどうしても「トイ・ストーリー」のような、子供を楽しませるおもちゃの無常観、悲哀を連想させるものだと私には感ぜられました。(私の他にも言及している人がいました)

特に現代は消費が非常に早いサイクルで回っている社会だと言われるなかで、より需要と消費物のあり方について考えさせるような構造になっています。
コンテンツはサブスクリプションの一期一会に任せられ、どれも短い時間か倍速でまとめ上げられ、楽曲においてもイントロや間奏のギターは飛ばされてしまうこともあるといいます。

そんな中で、「KAWAII」アイドルコンテンツも、消費者に満足を与えた後はカワイイだけが消費され、アイドルそのものの像は忘れ捨て去られてしまうかもしれないと歌っているわけです。

「KAWAII」はメタ的な視点として現実世界の私達(プロデューサー)にも呼びかけているものであり、「消費者」となる我々プロデューサーに気に入られるように、キャラクターも曲もシナリオもライブも、消費者にお金を出してもらえるように「手にとってもらえるように」都合よく作られたつくりもの、それが『アイドルマスター』っていうIPなんだよってぶちまけてしまっているのがのがこの曲です。

とんだアイドルマスターに対するアンチテーゼなわけで、この曲を裏『always』に例えていた他の人の言葉を借りれば、「選んでくれてありがとう」という歌詞の裏には選ばれなかった無数のシカバネがあるわけです。

しかし一方で、「KAWAII」はそんな刹那な受け手に刺さる世界だからこそ輝いている面もあります。

アイドルマスターは300人超のアイドルから、自分にピッタリと合うアイドル、一緒に頑張ってプロデュースしていきたいアイドルを選んで歩んでいくコンテンツです。

2次創作がコンテンツ発展に強く影響してきた例をあげるまでもなく、自分のオリジナルに、一番になれるように自由な解釈と消費を許されてきた側面が人気を獲得してきた秘訣でもあると言われています。

アイドルマスターには現在様々なアイドルが在籍しており、展開も多様に派生していますが、その中でこの『KAWAIIウォーズ』を、18年前の一番最初のアイドル、途中加入キャラ、別事務所、後輩、敵対企業、そして最新のゲーム追加キャラが一同に会して歌うのは、ここからお好みを選んでいいという残酷性な世界観の中に、ここにいるアイドルたちが、最前線でオンリーワンを争う、世界を広げて大きく言えば、各IPやアイドル達が影響しあい切磋琢磨する様子を戦争にたとえ、世界の広がりを個々人が目にすることがポイントなのかもしれません。

この話が特に顕著だなと想起させられたのは、「シンデレラガールズ」のキャラ作りの話で、特にソーシャルゲーム版がリリースした当初は、記号の羅列によるキャラの見本市だと揶揄を受けたり(実際に耳にした)ことがあります。
自分が好きな属性を探し当てて、マッチングするように記号化されたアピールが過剰だと。
しかし、そこから10年超、アイドルたちは時を経て様々な経験から肉付きを得て、人格を形成してきました。

実際のところアイドルマスターを知って10数年経ちましたが、「天海春香」のことを飽きて忘れ去ってしまったことはありません。
もしかしたら『I Want』を初めて聴いたときの衝撃や、ライブ前コミュでのかわいいやりとりは、当時に比べて薄れてしまったかもしれませんが、それ以上にアイドルマスターが続いている限り、また新しい天海春香の「KAWAII」の発見は止むことはありませんし、また好きな「天海春香」が形成されてきました。

もしかしたらいつの日か、私の中のアイドルマスターもKAWAIIに飽きて押し入れに追いやってしまう日が来るのかもしれません。
しかし過去の「KAWAII」はトイ・ストーリーのアンディのように、無になっていくものではなく、思い出として蓄積されていきます。

「KAWAII」のアピールは「自分の都合の良い」気持ち良い商品であるとともに、気に入られるために魂を入れられ、アピールをかけてくるプラスチックのドールにも、アイドルが個性を獲得していった道程のように、「プラスチックの胸の鼓動 トクトクほら聞こえるでしょ?」という命が宿る奇跡と軌跡があり、「KAWAII」を競い合うアイドルという存在そのものが愛すべき「可愛い」存在という歌なのかもしれません。

総括

今年は非常に候補が多くて悩みました。
特にMS2やPANOR@MA WINGはもっと流したい曲がいっぱいあったのですが、総括してまとめると、曲そのもののパワーはもちろん、アイマス18年、シャニでも5年やっていることからの積み重ねがあったからこそ冒険できるような曲調や詩文というのが、今年自分に刺さった曲の中では多かったような印象があります。

いつものことながらリアルイベントと深くリンクしてかなり評価をあげた(MOTTOやPacking Her Favorite等)曲もありましたし、「Take a StuMp!」の7thライブを見ていなかったのはとにかく悔やまれます。

ランキング外だと、『Plus 1 Good Day!』、『カラフル・シンメトリー』、『Walking on the Square』、『トキメキは赤くて甘い』、『きまぐれユモレスク』、『Contrastet』、『紙・心・ペン・心 -SHISHINPENSHIN-』、『Give me some more..』、『Bouncy Girl』なども大好きな楽曲として心に残っています。

今年は、後半にまとめて曲を聞きあげた側面もあるので、来年はアンテナを広げ、自分の日常のエピソードと深く結びつくような支えになるような一曲を探していきたいです。

来年もアイマス最高の一年になりますように。


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