肉塊

大きな檻の中で私は迷い子である
偶然にも檻の外の獅子が君である
檻は 何か特別な物質で構成されていて
獅子の君だけがその組成の秘密を知る

漣のような獅子の背
穏やかな黄金の四肢
檻の中にいながらにして
迷う私は君の餌にすらなれぬ

ああ、肉塊に、
赤い肉塊に生まれたかった
真っ赤な血の滴る柔らかな塊に
温度のある塊に
君が檻を破る禁忌を犯す程の赤さの
君の爪を牙を真紅に染める程の赤さの
ただの肉塊に

サポートありがとうございます! 益々研鑽に励みます。