羅小黒戦記感想(がっつりネタバレ)

2020/12/5にふせったーに書いた感想です。


【シャオヘイとムゲン】
一生一緒にいてくれや……!(Lifetime Respect)
すいません。二人が自分のツボの関係性のラインにいたので、つい三木道三になってしまいました。
サブタイトルの僕の選ぶ未来がさぁ~! シャオヘイが選んだ未来が館で生きる事でも一人で自由に生きる事でもなく、ムゲンと一緒にいる事というのがね。
嬉しいじゃないですか。
そうなんですよね、ムゲンはずっとシャオヘイに選択させるという事を大事にしていて。それが信頼関係に繋がったんですよね。
世界を見せてあげたかったのも、世界を知って、その上で選択させてあげたかったんだろうなと。
最後の最後まで、ずっとシャオヘイに選ばせてあげようとしていた。シャオヘイの可能性を奪わなかった。
きっと別れを告げた時も本当は一緒にいたかったんだろうな、と思ったんですよ、ムゲンは。
「必ず助けに行く」「シャオヘイには自分しかいない」「お前には自分がいる」
そんな、ずるいよ、そんな台詞言っといて、それでもシャオヘイを縛ろうとはけしてしないその優しさがずるいよ(物理的にはめちゃめちゃ縛ってたけども)。
シャオヘイもずっと寂しそうだったけど、シャオヘイに一度別れを告げて去ろうとするムゲンの後ろ姿がまた寂しそうで。
孤独な一人と一人が、二人になる奴。大好きだからよぉ。そして。
「居場所が欲しかったんじゃなかったのか?」「師匠と一緒にいたい」
はい出ました~!あなたがいる場所が私の居場所~~~~~!!好き~~~~~~~~!!
ストーリーの中でも二人旅のシーンがかなり多いけど、もっと見てたかったですね……。

【フーシー】
フーシー~~~~~~~~~!!(号泣)
やるせない。彼の過ごした200年を思うととてもやるせないんですよ。
彼があそこまでして、結局どうしたかったのかって。
それはムゲンがシャオヘイに聞いた
「人間に復讐したいのか?」「分からない。ただ、森に帰りたいだけなんだ」
それと同じだったと思うんです。
本当に本当はただそれだけだったんだと思うんですよ。フーシーはただただ故郷に帰りたかっただけだったと思うんですよね。
シャオヘイとムゲンのように、仲間達がいる場所が自分の居場所なのだと、故郷を追われて以降、そんな風に自分を納得させようとしていた時期もきっとあったんじゃないかと思うんですけど。
でも、長い時の中で何度も何度も住処を追われて、心を折られて、悲しくて悔しくて憎らしくて、でもどうすることも出来なくて……そんな時間を過ごして来たんじゃないかと思うと本当に締め付けられるような気持ちになります。
彼のしたことは擁護出来はしないんですが、「憎い対象がいて、それをどうにかできる力を持つ存在がいて、それを自分が奪う事が出来る」という状況にあって。
それをどれだけの人間が理性的に我慢できるのかと。それを思うと私は一方的に責められなくて。
彼の行いを擁護出来ないのと同じように、森林破壊も擁護は出来ないしな~と思いますし……山育ちとしては……。
口々に皆が「共存するしかない」とは言いますが、それは我慢しろとかコソコソ暮らせとかそういう意味ではなく、「時代に適応しろ」ということだったんだと思うんですよね。
実際に執行人の妖精や街で暮らす妖精はうまいこと人間に混じって生きていたわけです。
ましてやキュウ翁のように人間が苦手でもところがどっこい要領よく生きている妖精もいたりする。
こういう存在がいる事でまたフーシー達は言い訳が出来ないんですよね……こういう状況辛いですね。息苦しいよ。
フーシー達の何が良くなかったかって、要領よく生きる事を選択出来なかった、またシャオヘイに選択の余地を与えていなかったことだろうなと。
でもさ~要領よく生きれる人間だけじゃないんだもんな……(本人超絶不器用人間)。
自分達でどんどん逃げ道を失くしていってしまって……生き辛そうで生き辛そうで……。
シャオヘイの力を奪ってでも、命の危険にさらしてでも、やるしかなかった。
それはシャオヘイの未来を奪う行為ですらあったわけで。
だから逆に自分たちの未来が失われても文句は言えなかったわけで。きっとその覚悟もあったんだろうなとは思いたいんですけども。
でもフーシーがそんなこと本当はしたくなかったことは分かるんですよ。
戦っている間ずっと苦しそうだった。シャオヘイに懇願する声はとても悲痛だった。抵抗する姿はとにかく無様で惨めで可哀想で見ていられない程だった。
何もかも駄目になって、ようやくそれで、ただ自分が森に帰りたかったのだと気付いて、彼は大樹となって故郷に根を降ろす事を選んだろうなと思います。
彼はシャオヘイを利用し、シャオヘイを傷つけ、刃を振りかざしましたが、シャオヘイに与えた優しさは嘘じゃなくて。
また、シャオヘイもフーシー達に与えられた優しさを最後まで大事に思っていた事が、それは本当に救いだなと思います。
正面切って戦った二人の間に憎しみがなくて本当に良かった。
大樹になってしまったフーシー、館の牢で長い時を過ごしであろうシューファイ、ロジュ、テンフーにも、シャオヘイが選んだような未来が、選べる時がくればいいなと思いました。


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