花火の音
仙台七夕まつり。
その前夜祭として花火があがる。
今年も見に行ってきた。
8月5日の夜7時。
普段じゃありえない人々の密度。
浮ついてる。
不思議な暗さにみんなやられちゃってる。
蒸し暑さとそよ風と時折漂う群衆の汗っけ。
そして期待。
花火に対する期待か。
はたまた花火以外の何かに対してか。
全てにみんなやられちゃってる。
一発目。
花火大会で一番静かな瞬間かもしれない。
大きな光の色が群衆の眼底を貫いた瞬間。
脳が花開いて思わずどよめく群衆。
そのどよめきまでの一瞬の間。
それが一番静かな瞬間かもしれない。
静寂の一瞬、花火が夜空をぶわっと覆う。
つられてみんなの脳が開いちゃう。
もうどよめくしかできない。
間髪いれず、さらに花火は畳み掛ける。
仙台の街を和太鼓みたいに打ち鳴らす。
すべての人を鼓舞するみたいに。
すべての人を叩き起こすみたいに。
すべての人を静かに慰めるみたいに。
雷様の太鼓ではなく巨大な1つの太鼓だろう。
乱打ではなく渾身の一発。
花弁では届かない範囲を補って。
仙台の街全体に大屋根をかける一発。
元気ないのかそこの若いの。
これから祭りがはじまるぞ。
外に出られないのなら。
しかと耳を傾けなさい。
心の隙に、花火の音は最も響く。
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