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動詞に憑かれたひと⑦:バックミンスター・フラー

「わたしは名詞なんかじゃない、どうやら動詞のようだ。進化するプロセスだ。宇宙の積分関数だ」。宇宙船地球号。彼がこのコンセプトを世界中に広げたのが1963年。地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて使う言葉だ。エコロジーなんて言葉が普及するはるか前から、彼は宇宙レベルでものごとを構想していた。写真の後方、ドーム型の建築物も彼の作品。このサッカーボールのような構造体へのオマージュで、科学の世界、炭素分子にも彼の名前がつけられていたりする。幾何好きの彼は特に三角形がお気に入りだった。そこに秩序というよりも美を感じていたように思う。三角形を積分する。そんなイメージかもしれない。動詞のひと、バックミンスター・フラー。名詞である建築家や思想家ではない職業観。進化するプロセス。そのプロセスは別の人に受け継がれ、いまもなお進化中なのであろう。

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