見出し画像

リュイが発明した結合術と動詞の魔力

錬金術師の異名を持つラモン・リュイ(ライムンドゥス・ルルス)。時代は中世のスペイン。イスラム教徒やユダヤ教徒を改宗すべく奔走した人物だ。みうらじゅんに通じるものを感じる。なぜだろう?恐らく、キリスト教にグッときた挙句、各地を布教して廻ってる姿からかもしれない。著述家、哲学者、神秘家と言われるが、基本はキリスト教の伝道者だ。わざわざアラビア語まで学び、誰にでもわかりやすいよう記号や図形、おまけに物語風の編集もした。イスラムの文化や科学との出会いが彼に動的な宇宙(コスモス)を想起させた。最期の最後、「人間化する」(ラテン語:homificare)という動詞を考案するに至る。「人間とは人間化する動物である」という言葉が残っている。自身の存在を生活世界のるつぼでつくり上げること。死に様もまた壮絶。イスラム教徒の投石で命を落とす。天に唾ははかなかった。しかし、彼の投げた礫(つぶて)は嘆きの壁に当たり自分に戻ってきたのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?