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演劇に魂を吹き込むアクション動詞

濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞に輝いた。この作品は彼の映画創作の集大成と言ってもいい。「創作」という過程自体が作品になる。まさにプロセスエコノミー。演劇の世界では俳優養成術としてスタニスラフスキー・システムが有名だが、この作品はまったく逆の方法論を実験している。スタニスラフスキーは、心理的に深くて真実味のある感情表現を求め、革新的な理論を打ち立てた。その鍵になるのがアクション動詞。この場面でこの役に求められる動詞は何かを考えるのだ。役者と演出家、創作に関わるすべての人々のコミュニケーションもこれに基づく。ある意味でとても合理的なメソッド演技法だ。自分が役者ならどちらが演技しやすいだろう。意外にも映画や演劇から学べることは多い。

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