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動詞に憑かれたひと⑩:ホセ・オルテガ・イ・ガセット

スペインの哲学者。フッサールの実在論的現象学の方法を用いた「生の哲学」を展開。主著の『大衆の反逆』は近年再評価されている。大衆とは「ただ欲求のみを持っており、自分には権利だけあると考え、義務を持っているなどとは考えもしない。つまり、みずからに義務を課す高貴さを欠いた人間である」という。愚衆政治やポピュリズム。言論自由を笠に着て、無責任に大声で叫ぶ大衆。まさに現代にも通底する。人間の生の文法的形態。つまること生き方。それを品詞で表現すると動名詞になる。オルテガの、まさに「生の哲学」の肝がここに見て取れるようだ。動詞ではなく、あえて動名詞。動詞+ingの現在進行形にこめられた意図。行為は続くよどこまでも。継続や連続。まさに持続的な成長という文脈を考える上でも役に立ちそうなことばだ。「リビング」というと日本では3LDKの居間になってしまうのだが、まさにリビングやウェルビーイングなど、時代は動名詞になりつつある。

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