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平面説における南極の白夜

平面説では世界の中心は北極で、周囲が南極である。南極は現在伝えられている形状では実在しておらず、この世界をぐるりと囲んで海水を保持している。するとちょうど現行の世界地図における北極中心の正距方位図法のようになるが、これは主に太陽の周回(日照の範囲)から導き出されるもので、もちろんその様子の全体を見た人間は(少なくとも一般人では間違いなく)ひとりもいない。あくまでも理論上の帰結である。これに実観察は無い。しかし航空機の飛行経路をここに当てはめると、球体地球では一見不可思議な遠回りに見えたルートも平面大地では最短距離になってくるというのはあって、これはギリギリで実観察に準ずる水準にあると言えなくもないかもしれない。

さてその南極では白夜があり、太陽がずっと沈まない現象が起きると言われている。これは現行論ならスッと通る話だが平面説では難しくなってくる。これが北極における白夜なら簡単である。太陽は北極を中心にした周回軌道で動くので、その半径が小さい季節の時には太陽は観測点から一日を通して離れ過ぎないために見え続けるからである。白夜の反対の極夜という、1日を通して太陽が見えない現象もあると言われているが、これは北極も南極も共に説明は容易い。太陽の周回軌道の半径が大きい時に北極で極夜に、小さい時に南極で極夜になる。共に観測点から離れ過ぎているためである。では南極の白夜についてはどう考えれば良いか。世界の周縁である南極のある一点において、北極を中心に周回軌道をとる太陽が一日中離れ過ぎないということは北極と違ってあり得ないからだ。もしそんなことが起これば全世界が白夜になる。そんな驚天動地なことが起こるときにはさすがのイエス・キリストもブッダやアッラーと共に手に手を取り合って雲の隙間からしぶしぶ降臨してくるかもしれない。

フラットアーサー間で南極の白夜についてまずよく言われるのが、それは実際には存在せず、撮影されて流通しているビデオはCGや合成などのフェイクであるとする見方である。まあこれは安直でイージーだが最も合理的でもある。北極の白夜の映像だけがあって南極のそれが無いというのは一般社会においても都合があまりよろしくないだろう。とはいえここでひとつ言えるのは、職業科学者だけでなく通信事業者などの社員が南極に赴いたときに白夜を経験した、というネット記事などが稀に見られることだ。そのタイプの記事は特に目立つことも無い。宇宙に行った話とは全く存在感が違う。「あーそうそう、こないだ南極に行った時は白夜だったんだけど、でねそれでさー」というような程度の雰囲気での言及に過ぎない。僕としてはこのネットの片隅のそのまた片隅に落ちているこのタイプの報告を"でっちあげ"とは考えない。おそらく彼らはほんとうに白夜を経験したのだ。少なくともここではそのように考えたい。ではこれはどういうことか。

そもそも平面説では太陽が何かということがわからない。しかしその光源はドームの外にあって、ドーム自体がまず照らされて空が明るくなり、そして空中に見える太陽と呼ばれる像はその光源の映り込みであるとする見方がある(僕もこれを支持している)。このようにドームの外から光を照らしたとき、光源が低い位置に来るとドームの周囲(つまり南極の空の周辺だ)を光がぐるっと回り込んで取り囲む現象が起きる様子がフラットアースの実験動画にあるが、これが実際に起きているならば少なくとも南極の空が一日中明るいということは起こりうる。ただしやはり太陽の像は一日中は見えていないはずだ。そう、おそらく白夜を経験したと言っている人たちは太陽が見えていない時には生活サイクルとして普通に寝ていたのだ。太陽が遠い時、それは当然のことながら夜にあたる。そう、寝ていたのだ。ただし明るい空の下で。寝ていたのだ。ただでさえ厳しい自然環境の中で責任ある任務に当たる彼らは、24時間起きて太陽を追いかけ続けているわけにもいくまい。もちろん今は白夜の時期だと事前に知らされてもいただろう。そして明るい空の下で寝て、明るい空の下で目を覚ましたのだ。そのようにして彼らは"白夜を経験した"のだ。

いかがであろう、これはあくまでも仮説未満の推測でしかないが、案外とこういうつまらないヌケを含んだ勘違いは、専門家やいわば南極の任務に行くような"エリート"のあいだに、そして愛好家に特有のそれとして、しばしば起こりうることはすでに嫌というほど思い知らされてもいる。太陽の像が沈まないビデオはたしかにフェイクで良いと思うが、もっとタッチの軽い白夜の話についてはそのように考えても良いのではないか。もちろんそれらが全部グルで一般人を意図的に騙そうとしているとしても別に良いには良いし、理路としても純粋に通るには通るが、僕はあまり気がすすまない。僕ら一般人は何もわからず洗脳された一般人にこそ洗脳されてゆく、という図式のほうに僕はしがみついている。

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