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【フラットアース散歩】この地面は上昇も、自転も公転もしていない

「フラットアース」(または「地球平面説」)とポチッと検索すると、ラピュタに出てくる天空の城みたいな平面の地球が宇宙空間に浮かんでいる画像が出てくる場合がよくある。まあこれはこれで地球平面説といえば地球平面説なのではあろう。これでもたしかに地球は平面ではあるからだ。というか、誰もがイメージしやすい「フラットアース」である。そしてそのような画像を見て、フラットアースの間違いを指摘するアナタは、そのイメージのしやすさに思考がドンブラコと桃みたいに流されてしまう性質を完全に逆手にとられてしまっている。有り体に言えば、舐められている。教えてあげよう。この昨今、ネット上でよく耳にするフラットアース論は、なんと、いわゆる宇宙空間そのものも無い、それは嘘であり、間違いであると主張している。

また前述のラピュタ型フラットアース論では、重力で物が落ちるのではなく、そのラピュタ型地球が上昇していることによって、物が落ちているように我々には見えているのだと言っている。なぜこのような論があるのかというと、重力があるなら宇宙空間に浮かぶ地球は平面ではなく球状になってしまう、というのが現代科学の説明なので、それに対応させるためである。しかもその上昇のスピードの加速度は9.8m/s2という、いわゆる重力加速度と同じ値を選んでいる。これを聞いたアナタはさらに「無いわ〜」とひとりごちて、また元の平穏かつ混乱に満ちた日常生活に戻ってゆく。素晴らしいことだ。目で見て手で触れて匂いを嗅げるほどアクチュアルで音が鳴るほどリアルな日常こそ我々のメインステージである。そしてもちろん重力というのは空論である。物体の落下または上昇あるいは浮上や沈降はすべて、密度差によって説明ができるもので、重力の存在というのは鑑みるに値しない。

ではなぜこの地面が9.8m/s2の加速度で上昇していないと言えるのか?(これはアナタも今一度考えるべきだ、なぜその論を棄却できるのか?常識に囚われすぎてはいまいか?それでは戦時中に新聞が嘘をつくわけがないと大本営発表を信じたあの"愚かな"人々と同じではないか?)それは我々がこうやって暮らしていて、その加速を一切感じられないからである。我々の身体は、空間内でのほんの少しの加速(と減速)をも敏感に感知できるようになっている。ちなみに現在の宇宙科学での地球の公転の速度は時速10万8000kmで秒速なら30kmであるが、その軌道は真円ではなく楕円であると言われている。楕円なら必ず加減速が生じる。我々の身体はこれを感知することが一切できない。かたや自転はというと、赤道で最も速く時速約1700km、日本ではだいたい時速1500kmで秒速は417mであるが、つまり南北を移動する度に速度は変化するのであるが、これもまた感知することは一切出来ず、また同時に公転も起こっているので、身体に起こるその加減速の変化は大変に複雑である。さらには太陽系全体も時速82万8000km、加えてこの銀河系全体も宇宙の膨らみに合わせて時速216万kmで移動していると現在の科学は言っている。それが僕やアナタの立っているこの地面の上で今まさに起こっていることだと、それは言っている。

さあ。アナタがグーグルの検索窓に「フラットアース」と入力したところ、平面の地球が9.8m/s2で上昇していると言っているのを聞いて「無いわ〜」と言った気持ちが僕にはよくわかることをわかってもらえたと思う。この地面は上昇もしていないし、公転も自転もしていない。僕らはもう友達だ。一緒に叫ぼう。せぇーの、無いわ〜!

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