見出し画像

逃避と迂回とその他の詩



1.
カレンダーからは逃れられまい
秒針が文字盤から脱せぬように
たとえ世界中の時計を壊しても
あなたの影が時計になるのだよ


2.
まだまだ覚めない夢を見たい
うだうだ揺蕩たゆたう迂回と遊泳
しだしだ錆びつく視界と思考が
ただただ叫びを抱きしめて飛べ


3.
まだ起きているのか夜更かしめ
輪郭のない景色が心地良いか
深夜のコンビニへ行く道中
眼鏡を外して空を見れば
今日の天気も 恐らく曇り



4.
部屋に反響するこえは
頭の中の洞穴の
井戸の底から聞こえるが
塞ごうとも 音がして
埋めようとも 声がして

自身が井戸である事に
気付くまでには幾星霜いくせいそう
耳目じもくも衰え始めたころ
きしのどからにじんだ声が
正真正銘 にごりなき
まこと自分の言葉だと




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?